BL 6インチ 26cwt榴弾砲

オードナンス BL 6インチ 26cwt榴弾砲：イギリス軍の中榴弾砲

オードナンス BL 6インチ 26cwt榴弾砲は、第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけてイギリス陸軍が使用した中榴弾砲です。その名前にある「26cwt」とは、砲身と砲尾の合計重量が26long hundredweight（約1,321kg）であることを意味します。

開発の背景

第一次世界大戦において、イギリス軍が使用していたBL 6インチ 30cwt榴弾砲は、ドイツ軍の15cm sFH 13榴弾砲と比較して性能面で見劣りすることが判明しました。そのため、より高性能な榴弾砲の開発が急務となり、1915年1月に新型榴弾砲の設計が開始されました。同年7月30日には実弾射撃試験が行われ、年末には制式採用されることとなりました。

この新型榴弾砲、すなわち6インチ 26cwt榴弾砲は、液気圧式駐退復座機を装備しており、射撃時の反動を効果的に吸収し、迅速な再照準を可能にしていました。

実戦での活躍

6インチ 26cwt榴弾砲は、その火力、射程、機動力のバランスが評価され、イギリス陸軍だけでなく、ニュージーランド軍（ANZAC軍団）や南アフリカ連邦軍といったイギリス帝国に属する軍隊でも広く運用されました。第一次世界大戦や第二次世界大戦において、ヨーロッパ、アフリカ、アジアなど、各地の戦線でその姿を見ることができました。

戦間期には、車輪が木製スポーク式から空気入りゴムタイヤと鋼鉄製ホイールに換装され、自動車による牽引速度が向上しました。これにより、部隊の機動力が大幅に向上し、戦場での展開がより迅速に行えるようになりました。

第二次世界大戦中も、ノルウェー、ベルギー、フランス、北アフリカ、マレー、ビルマなど、様々な戦地で使用されました。しかし、1942年からはBL 5.5インチ砲への更新が進められ、イギリス軍では第二次世界大戦終結時に退役しました。

他国での運用

6インチ 26cwt榴弾砲は、戦間期にイタリアとオランダにも輸出されました。イタリア陸軍ではobice 152/13として制式採用され、フランスとの戦闘やエジプト侵攻、ギリシャ侵攻などで使用されました。オランダでは、1940年のナチス・ドイツによる侵攻の際にドイツ軍を迎え撃ちましたが、オランダ降伏後はドイツ軍に接収されました。

ドイツ軍は、鹵獲した6インチ 26cwt榴弾砲に対し、15,2 cm sFH 412 (e)（イギリス）、15,2 cm sFH407 (h)（オランダ）、15,2 cm sFH412 (i)（イタリア）というコードネームを与えましたが、実際にどれだけ実戦で使用されたかは不明です。イタリアが連合国に降伏した後は、イタリアを占領したドイツ軍やイタリア社会共和国軍も使用しました。

関連項目

榴弾砲
シュナイダーM1917C 155mm榴弾砲（フランス・アメリカ合衆国）
* 15cm sFH 13（ドイツ帝国）

6インチ 26cwt榴弾砲は、第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけて、イギリス軍とその同盟国の砲兵戦力の中核を担った重要な兵器でした。その開発、運用、そして他国への影響は、軍事史研究において注目すべき点が多く存在します。

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