南アフリカ連邦

南アフリカ連邦

南アフリカ連邦（Union of South Africa）は、1910年から1961年まで存在した南部アフリカの立憲君主制国家であり、英連邦王国の一部でした。連邦は、イギリスの自治領としてスタートし、南アフリカ地域における白人の支配体制を基盤にしていました。国歌は、1910年から1957年まで「国王/女王陛下万歳」が使用され、1957年以降は「南アフリカの呼び声」が国歌として採用されました。

設立と人種差別政策の始まり

1910年5月31日、南アフリカ連邦は正式に設立されました。この時期、連邦内の人口のごく一部を占める白人が、黒人に対して強権的な支配を行いました。1911年には「鉱山労働法」が制定され、白人労働者の保護を目的にした最初の人種差別法が成立しました。これは、白人と黒人の労働条件の不平等を合法化しました。

自治の拡大

1931年には、ウェストミンスター憲章が採択され、南アフリカ連邦は実質的にイギリス本国と同等の主権を持つ国家となりました。さらに、1934年にイギリス国会で南アフリカ連邦地位法が可決され、正式に主権国家としての地位を確立しました。これ以降、南アフリカ連邦の人種差別政策はさらに強化され、特に1959年にはバントゥースタン制度の導入が施行されました。この制度により、白人と黒人の分離が進められ、黒人はホームランドと呼ばれる地域に押し込まれました。

国際的な孤立と共和国への移行

1960年にはシャープビル虐殺事件が発生し、国際社会から強い非難を受けました。この事件は南アフリカの国際的孤立を一層深める要因となりました。1961年、南アフリカ連邦はアパルトヘイト政策への国際的な批判に応じて、イギリス連邦を脱退し、共和制を宣言しました。その結果、南アフリカ共和国が誕生しました。

南西アフリカとの関係

南アフリカ連邦は、南西アフリカ（現在のナミビア）とも関係を持っていました。1840年にイギリスがウォルビスベイ地域を掌握しましたが、その後南西アフリカは1883年にドイツ帝国による植民地とされました。第一次世界大戦中に南アフリカ連邦は南西アフリカを占領し、戦後には国際連盟によってその地域の委任統治が適用されました。しかし、数度の原住民による反乱を背景に白人の優位が保たれ、第二次世界大戦が終結する頃まで同様の統治が続きました。

1940年代後半、国際連盟が解散した後、南アフリカは独自に南西アフリカを併合しようとしましたが、国際的には不法占拠と見なされました。1960年代には、ナミビア独立のための運動が活発化し、最終的にナミビアは1990年3月21日に独立を果たしました。また、ウォルビスベイ地域も1994年にナミビアに返還されました。

結論

南アフリカ連邦の歴史は、白人による過酷な支配と、国際的な圧力、そして内部での抵抗運動により影響を受けてきました。人種差別政策とその後の共和国への移行は、南アフリカの社会や国際的地位に大きな影響を与えました。

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