BL 60ポンド砲

オードナンス BL 60ポンド砲：第一次世界大戦の主力中砲

オードナンス BL 60ポンド砲は、イギリスが1904年に設計した口径127mmの中砲です。OF 4.7インチ砲の後継として開発され、第一次世界大戦においてイギリス陸軍およびイギリス連邦諸国の主力カノン砲として広く使用されました。その性能の高さから、第二次世界大戦においてもBL 5.5インチ砲に更新されるまで第一線で使用され続けた名砲であり、アメリカ合衆国も1920年代に少数ながら導入しています。

開発と構造

1904年、イギリス陸軍は60ポンド砲のMk.I砲身を設計しました。この砲は、中砲としては初めて砲身後座機能を備えたMk.I砲架と組み合わされました。第一次世界大戦中には、製造工程を簡略化したMk.I砲身とMk.I砲身も製造されています。

Mk.I砲架は、砲身上部にばね圧復座式の駐退復座機を搭載しており、砲身は砲脚の後端ぎりぎりまで後退する設計でした。車輪は木製スポーク式で、接地面には鉄板が貼り付けられていました。

その後、牽引時に砲身を後座状態で固定するMk.II砲架が設計され、牽引手段も馬から専用の牽引車両に変更されました。さらに、重量増加により泥濘地での牽引が困難になったため、砲身をいったん取り外して専用の馬車で輸送するMk.III砲架が設計され、Mk.II砲架をMk.III仕様に改修したMk.II砲架も製造されました。

1918年には、全長を長くしたMk.II砲身と、駐退復座機を気圧復座式に変更したMk.IV砲架が設計されましたが、第一次世界大戦終結には間に合いませんでした。その後は車輪を空気入りゴムタイヤに換装して第二次世界大戦で使用されましたが、BL 5.5インチ砲の配備により1944年に退役しました。

Mk.IV砲架は、BL 4.5インチ砲の初期型にも採用されています。

スペック

口径：127 mm
全長：データなし
全幅：データなし
重量：データなし
砲身長：4,064 mm（Mk.I）/ 4,699 mm（Mk.II）
仰俯角：-5°〜+21.5°（Mk.I） / -4°〜+35°（Mk.II）
左右旋回角：4°
運用要員：10名
発射速度：2発/分（最大）
射程：11,200 m（Mk.I、改良型60ポンド榴弾） / 14,200 m（Mk,II、56ポンド砲弾）
運用期間：1905年〜1944年
生産総数：1,756門（Mk.Iのみ）

関連項目

カノン砲
ガンキャリアー マークI

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