BL 4.5インチ砲

BL 4.5インチ中砲：第二次世界大戦におけるイギリス陸軍の主力火砲

BL 4.5インチ中砲は、1930年代末にイギリス陸軍がBL 60ポンド砲の後継として開発した中級砲（重野砲）です。第二次世界大戦の初期から使用され、その射程と機動性で戦場を支えました。

開発の経緯

イギリス陸軍は、第一次世界大戦で使用されたBL 60ポンド砲の後継となる新型重野砲を模索していました。そこで、BL 4.5インチ砲の開発が始まりました。砲身は新規に設計されましたが、開発期間の短縮とコスト削減のため、砲架と駐退復座機はBL 60ポンド砲のMk.IV砲架を流用しました。こうして完成したのがBL 4.5インチ砲Mk.Iです。

その後、砲架をBL 5.5インチ砲のものに変更し、水平射角を拡大させたMk.IIに生産が切り替えられました。これにより、射撃の柔軟性が向上し、様々な戦況に対応できるようになりました。

スペック

口径：114mm
砲身長：4,690mm（41口径）
重量：5,800kg
射程：18,000m

特徴

BL 4.5インチ砲は、その射程の長さが大きな特徴でした。5.5インチ砲を上回る射程を持ち、遠距離からの砲撃を可能にしました。しかし、口径が比較的小さいため、硬化目標に対する破壊力は劣っていました。

第二次世界大戦での活躍

生産は第二次世界大戦勃発後の1940年に開始され、北アフリカ戦線やヨーロッパ戦線など、各地の戦線に投入されました。その射程と機動性を活かし、敵陣地の制圧や敵部隊の進撃阻止に貢献しました。

戦後の動向

大戦終結後、BL 4.5インチ砲は間もなく訓練用とされ、1959年に退役しました。より大口径で破壊力に優れた火砲が登場したことや、ロケット砲などの新たな兵器体系への移行が進んだことが、退役の理由として挙げられます。

比較対象

BL 4.5インチ砲と同世代の火砲としては、以下のようなものが挙げられます。

M1 4.5インチ砲（アメリカ合衆国）
A-19 122mmカノン砲（ソビエト連邦）
10.5cm sK 18（ナチス・ドイツ）
九二式十糎加農砲（大日本帝国）

これらの火砲と比較すると、BL 4.5インチ砲は射程に優れる一方、破壊力ではやや劣るという特徴がありました。各国の火砲は、それぞれの戦略や戦術思想に基づいて設計されており、BL 4.5インチ砲もまた、イギリス陸軍のニーズに応じた性能を備えていました。

まとめ

BL 4.5インチ中砲は、第二次世界大戦においてイギリス陸軍の主力火砲として活躍しました。その開発経緯、特徴、戦場での役割を振り返ることで、当時の軍事技術や戦略思想を理解することができます。戦後、その役割を終えましたが、その名は軍事史に刻まれています。

もう一度検索