BL 8インチ榴弾砲 Mk6

BL 8インチ榴弾砲 Mk.6は、第一次世界大戦中盤にイギリス陸軍が導入した重榴弾砲です。従来のMk.1〜5と比較して性能が大幅に向上しており、第二次世界大戦でも使用されました。また、アメリカ合衆国でもライセンス生産が行われた点が特徴です。

開発の経緯

1915年8月、イギリス陸軍はヴィッカース社に対し、従来の8インチ榴弾砲を上回る高性能な砲の開発を依頼しました。その結果、1916年5月には量産化が開始されました。このMk.6は、ヴィッカース社が以前に設計したBL 6インチ 26cwt榴弾砲の設計を基に、8インチ榴弾を発射できるようにスケールアップして開発されました。これにより、従来の8インチ榴弾砲と比較して射程の延伸と軽量化が実現し、駐退復座機も気圧復座式に変更されました。

その後、砲身を延長して射程をさらに伸ばしたMk.7や、砲身を肉厚にして強化したMk.8も製造されています。

実戦での活躍

第一次世界大戦では、イギリス本国だけでなく、イギリス帝国の自治領諸国にも供給されました。その高威力にもかかわらず機動性に課題があったため、主に西部戦線に配備され、専用の台座に設置して、味方の塹壕後方からドイツ軍の塹壕への砲撃に使用されました。

第一次世界大戦後もイギリス陸軍は同砲を保有し続け、1930年代には自動車による高速牽引に対応するため、車輪を空気入りゴムタイヤに換装しました。

第二次世界大戦では、フランスに持ち込まれてドイツ軍の迎撃に使用されましたが、その後、新型のBL 7.2インチ榴弾砲用の7.2インチ砲弾を発射できるように改修され、訓練用として用いられました。そして1943年7月に退役しています。

アメリカ合衆国でもライセンス生産が行われ、イギリスに供給された他、アメリカ軍が第一次世界大戦に参戦した際にも装備されました。しかし、第二次世界大戦では自国製のM1 203mm榴弾砲に更新されたため、実戦には投入されなかったようです。

フィンランドは、冬戦争で使用するために1939年にアメリカからMk.7を32門購入しましたが、冬戦争には間に合いませんでした。これらの砲は203 H/17と命名され、継続戦争で使用されました。戦後も予備兵器として保管され、1960年代末に退役しました。

スペック

口径：203.2mm
全長：データなし
全幅：データなし
重量：3,400kg
砲身長：2,990mm（14.7口径、Mk.VI） / 3,515mm（17.3口径、Mk.VII & Mk,VIII）
仰俯角：-4°〜+50°（Mk.VI） / 0°〜+45°（Mk.VII & Mk,VIII）
左右旋回角：8°
運用要員：データなし
発射速度：データなし
射程：9,825m （Mk.VI） / 11,250m（Mk.VII & Mk,VIII）
運用期間：1916年〜1943年
生産総数：678門（イギリスのみ）

関連項目

榴弾砲
21cm Mrs 16（ドイツ帝国）

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