BM-27

BM-27ウラガン

BM-27「ウラガン」（ロシア語: БМ-27 «Ураган»）は、1970年代にソビエト連邦軍によって開発された自走式多連装ロケットランチャーです。このシステムは、ソビエト連邦崩壊後もロシア連邦軍をはじめとする多くの国で引き続き運用されています。BM-27は、主に軍事用途に特化した兵器であり、GRAUインデックスは9P140（9П140）です。

「ウラガン」という名はロシア語で「暴風」または「疾風」を意味し、その名前にふさわしい威力を誇っています。BM-27は16連装の220mmロケットを搭載しており、強力な火力を持つ一方で、機動力にも優れています。

機体の詳細

BM-27は、ZIL-135という大型の8輪式軍用トラックに搭載されており、このトラックは高い機動性を実現するために2つのガソリンエンジンを使用しています。この二重エンジンシステムにより、車両は20トンの貨物を運びながら、最高速度65km/hで走行可能です。さらに、燃料補給無しでの最大航続距離は500kmに達します。

この自走式ロケットランチャーは、NBC（核、生物、化学兵器）防護機能が搭載されており、乗員は車外に出ることなく発射準備を3分以内に整えることができます。車体には、ロケット弾の発射時に発生する炎から乗員を守るためのブラストシールドが装備されています。

ロケット弾の特性

BM-27が使用する220mmロケット弾は、一斉発射の場合、16発を約20秒で撃ち尽くします。これらのロケット弾は、総重量280.4kg、弾頭重量は90kgから100kgで、最大射程は35kmです。弾頭には破砕性、化学兵器、PFM-1対人地雷散布弾などがあり、これらは電気式時限信管によって発火します。

弾薬運搬車

BM-27の効率的な運用を支えるために重要な役割を果たしているのが9T452弾薬運搬車です。この弾薬運搬車もZIL-135トラックを基にしており、予備のロケット弾をクレーンで再装填することができます。この再装填作業は約20分ほどで完了し、次の攻撃に備えることができます。

使用国

BM-27は多くの国で運用されており、アフガニスタン、アルメニア、ロシアなどで見られることがあります。特にロシアでは、200両が現役で運用され、さらに700両が保管されています。キルギスとモルドバでも2023年時点でそれぞれ6両と11両が確認されています。

改良型

BM-27にはいくつかの改良型が存在し、2007年に提案された9K512ウラガン1Mや、2009年に提案された9A53ウラガン-Uがあります。これらは、より高度な機能を持つ発射機を搭載しており、BM-30スメーチやBM-21グラートの弾薬を使用することも可能です。

実戦投入

このシステムはアフガニスタン戦争において頻繁に使用され、特にPMF-1対人地雷散布弾頭が効果的であったため、ソ連軍によって多用されました。また、2022年のロシアのウクライナ侵攻でも使用が見られ、状況によってはロシア軍が放棄し、ウクライナ軍によって鹵獲されるという事例も発生しています。

BM-27はその高い火力と機動力を兼ね備え、依然として多くの国で重要な兵器として活用されています。

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