BM-21

BM-21 グラートについて

BM-21 グラート（ロシア語: БМ-21 "Град"）は、ソビエト連邦が1960年代初頭に開発した122mmの自走多連装ロケット砲です。この兵器は、ソビエト連邦軍や現在のロシア連邦軍はもちろん、友好国への輸出も行われており、世界で最も広く使用されています。「グラート」という名はロシア語で「霰」や「雹」を意味し、正式名称のBM（БМ）は「戦闘車両」を指す言葉の略称です。

開発の背景

BM-21は、既存の140mmロケット砲BM-14を更新する形で開発が始まりました。1963年に配備され、ウラル-375D6トラックの荷台に40本の122mmロケット弾を発射するチューブを搭載した構造が特徴です。1976年以降は、新型のウラル-4320トラックがベースとなって生産されるようになりました。

構造と性能

BM-21は、停車後約3分で発射準備が整うよう設計されており、40発を一斉に発射するのにかかる時間はわずか20秒です。その後の再装填には約10分必要とされます。一度の攻撃で720発のロケット弾を送り込むことができ、その初撃力は非常に強力ですが、継続的な発射速度は低めと評価されています。弾道安定には翼安定方式を使用し、ガイドレールで弾体の旋回を助けるスピン安定式ともいわれています。

弾頭は基本的には対人や対非装甲車両用の破砕性弾頭が主要ですが、中には対硬化目標用のHEAT弾や、対戦車地雷散布弾頭、対戦車用の子爆弾散布弾頭も備えられています。

さまざまな派生型

BM-21には多くの派生型があります。基本型のBM-21に加え、ウラル-4320トラックを使用するBM-21-1型や、ベトナム戦争を背景に開発された個人携帯型の9K132グラートPなどがあります。さらに、北朝鮮や中国など他国においても多くの派生型が存在し、それぞれ独自の改良や変更が加えられています。

一部の派生型の概要

• - BM-21B: 軽量の36連装発射器を搭載したタイプ
• - BM-21V: 空挺部隊向け、12連装発射器を含む
• - 9A53-G タルナード: 近代化改良型、ナビゲーションシステムを搭載
• - 81式自走ロケット砲: 中国製で、ベトナムから鹵獲したBM-21を基に設計

使用されている国々

BM-21は多くの国で現役として運用されています。ロシア、ウクライナ、中国、北朝鮮をはじめ、多くのアフリカ、アジア諸国でも使用されており、戦場でのその影響力は依然として無視できません。

まとめ

BM-21 グラートは、その高い攻撃力と多様な派生型により、今日に至るまで多くの地域で重用されています。敵に対して大規模な火力支援を行う能力は、今なお軍事戦略において重要な役割を果たしています。

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