BMW 109-718

BMW 109-718：第二次世界大戦期のドイツ製液体燃料ロケットエンジン

BMW 109-718は、第二次世界大戦下のドイツ、ブルックミュールにあるBMW社の工場で開発された液体燃料ロケットエンジンです。短距離離陸を補助する目的で設計され、連合国側では「混合動力」システムとして知られていました。

エンジン概要と特徴

このロケットエンジンは、主にジェット戦闘機への補助ロケットとして使用されることを想定して開発されました。特に、BMW 003ジェットエンジンの改良型である003Rに搭載され、1,250kgの推力を発揮しました。ペアで搭載されることもあったようです。当時、一般的な補助ロケットとして用いられていたJATOとは異なり、718は使い捨てではなく、再利用可能な設計でした。

718は、内部と外部の2つの燃焼室を持ち、螺旋状の管を通して硝酸燃料を供給することで冷却していました。遠心式燃料ポンプが、酸化剤である赤煙硝酸と炭化水素燃料を供給し、圧力735psi、毎秒5.5kgの燃料を燃焼室に送り込みました。離陸時には、ジェットエンジンの動力を使って燃料ポンプを3,000rpmで回転させていました。

搭載機と試験

終戦間近には、メッサーシュミットMe 262C-2b Heimatschützer（ホームディフェンダー）に2基の718を搭載した試験が行われ、その結果、高度9,150mまでわずか3分という驚異的な上昇率を記録しました。Heinkel He 162 E戦闘機への搭載試験も行われたとされていますが、その結果は明確に記録されていません。

ドイツ軍は、ジェット航空機とロケットに同一の燃料を使用することを目指していたようです。これは、燃料供給の簡素化と運用効率の向上を狙った戦略的な判断だと考えられます。

終戦までに完成したのはわずか20基で、1基の完成には約100時間を要しました。戦争終結によって開発は中断され、そのポテンシャルは十分に発揮されることはありませんでした。

エンジン仕様

注記: 上記の仕様には不明な項目があります。これは、戦時中の混乱と資料の不足が原因と考えられます。

参考文献

Christopher, John (2013). The Race for Hitler's X-Planes. The Mill, Gloucestershire: History Press

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