JATO

JATO（ジェット補助推進離陸）とは

JATOとは「Jet-fuel Assisted Take Off」の略称で、航空機の離陸を支援するために追加される推進装置を指します。具体的には、パイロットが本来必要とする滑走距離を削減し、より短い距離で離陸を可能にします。この技術は、一般的には空気吸入型のエンジンではなく、ロケットエンジンを利用したものを含み、特に「RATO」と呼ばれることもあります。

初期の実験と第二次世界大戦

JATOの初期実験は1920年代のドイツに遡ります。具体的には、ドイツ製のグライダーにロケットを取り付けて離陸を補助する試みが行われました。その後、この技術は第二次世界大戦中に英空軍やドイツ空軍によって採用され、各国でさまざまなモデルが開発されました。

英国空軍の例として、ホーカー・ハリケーンに大型の固体燃料ロケットを取り付けた機体が商船から射出される技術が挙げられます。この取り組みは、ドイツの偵察機に対する防衛の一環として行われ、航空機が多数撃墜される結果となりました。しかし、運用は限られており、わずか9回の実施で結果を残しました。

一方、ドイツ空軍もこの技術を自軍の小型爆撃機や巨大グライダーで活用しました。特にメッサーシュミット Me 321の離陸時には、過酸化水素などを燃料としたロケットエンジンが使用され、離陸後には投棄される構造でした。実験は主にノイハルデンベルクの空港で行われました。

アメリカでは、1940年代からの研究が行なわれ、特にセオドア・フォン・カルマンが関与したことが重要です。1941年には、ESRCOエルクーペを用いてロケット動力のみによる飛行が成功し、この分野でのアメリカの技術力を示しました。ここからさらに、JATOの商業化が進み、エアロジェット・エンジニアリング・コーポレーションの設立へとつながりました。

第二次世界大戦後の発展

戦後、相対的に推進力の向上が見られたターボジェットエンジンの登場により、JATOの重要性や必要性は変化しました。しかし、特に重い航空機の短距離離陸や高地・高温での運用においては未だにJATOが活用されています。1950年代には、アメリカ空軍とソ連空軍でのゼロ距離発進の実験が行われましたが、特にアメリカではMGM-1マタドール巡航ミサイルの技術が応用されました。

ベトナム戦争では、南ベトナムにおいてA-4スカイホークでの短距離離陸支援としてJATOが使用され、一時的な実用化が見られました。また、1980年代末のクレディブル・スポーツ作戦では、C-130輸送機がJATOシステムを利用して人質救出を目指しましたが、事故により中止されました。

JATOの必要性と欠点

JATOの利点は、航空機の離陸距離を短縮することです。特に重量の大きい機体や、短時間での高空到達が求められる場合に有効です。ただし、費用面や滑走路への影響、また高い信頼性の必要性といった課題も抱えています。

都市伝説

JATOにまつわる都市伝説の一つとして、有名な「JATOカー」の話があります。実際には科学的な根拠はありませんが、このエピソードはディスカバリーチャンネルの番組で検証されたこともあります。実際にはJATOを装着した車両が離陸した事例はないようです。

結論

JATOは航空機技術の進歩とともに変化し続けていますが、特定の条件下での短距離離陸のための手段として、その重要性は今でも残っています。

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