BR.20 (航空機)

BR.20（Cicogna）

BR.20は、イタリアのフィアット社によって開発された双発爆撃機であり、第二次世界大戦の時期において重要な役割を果たしました。愛称は「チコーニャ」（コウノトリ）で、戦争の技術や戦略の進化を象徴する存在と言えます。

開発の歴史

BR.20の初飛行は1936年2月10日であり、この機体は先進的な設計を誇っていました。胴体の後部は布張りですが、機体の他の部分は全金属製であり、引き込み式の landing gear（着陸脚）を搭載していたため、その時代においては最新の技術が詰まった航空機でした。

この機体は1936年にイストル・ダマスカス間のエアレースにBR.20Aとして2機が参加し、1939年にはローマ・アディスアベバ間を無着陸で飛行するためのBR.20Lが開発されました。これらの試作機は、BR.20の設計理念を確立する基盤となりました。

運用と戦歴

量産型のBR.20は275機が製造され、1937年にはスペイン内戦に参加しました。特に、この機体はスペイン人民戦線の主要な戦闘機であったI-15よりも高速であったため、戦況において一定の優位性を持っていました。さらに、1940年10月から11月にかけては、ベルギーの基地からイギリス本土に対する爆撃を行いましたが、敵のハリケーン戦闘機に対してはその武装が貧弱であり、深刻な損害を被ったのが実情です。そのため、以降は陸上雷撃機としての運用が主となります。

1941年に初飛行したBR.20bisでは、スペイン内戦での教訓を取り入れて武装が強化され、発動機も改良されました。BR.20Mはこの改良版の一つで、全体的に空力的に洗練された設計がなされています。最終的にこれらの型の生産機数はおよそ250機に上ります。

イ式重爆撃機としての使用

1938年にフルモデルのBR.20の後期型が日本陸軍に85機輸出され、イ式重爆撃機として使用されました。この機体は九七式重爆撃機までの過渡的な位置づけであり、実戦において九七式重爆撃機の前線配備が始まる頃にはほとんどの部品や爆弾が不足しました。そのため、第一線から姿を消しましたが、BR.20が装備していたブレダ SAFAT 12.7mm機関銃は、日本陸軍の航空機関砲であるホ103の開発に大きく寄与しました。

主要諸元（BR.20bis）

• - 全長: 16.10 m
• - 全幅: 21.56 m
• - 全高: 4.30 m
• - 主翼面積: 74.0 m²
• - 重量: 6,400 kg
• - 全備重量: 11,500 kg
• - 発動機: フィアットA82RC42（空冷星型14気筒）×2
• - 出力: 1,250馬力 ×2
• - 最大速度: 460 km/h
• - 航続距離: 2,800 km
• - 実用上昇限度: 9,200 m
• - 武装: 12.7 mm ×1、7.7 mm ×3（いずれも旋回）、爆弾1,600 kg
• - 乗員: 6名

関連する項目

• - 爆撃機一覧
• - イ式重爆撃機

このようにBR.20は、その設計や運用の過程において多くの歴史的な出来事と結びついており、航空機としての歴史的価値が高い存在です。

もう一度検索