BUS GAMER

『BUS GAMER』作品解説



『BUS GAMER』（ビズゲーマー）は、漫画家・峰倉かずやによる日本の漫画作品です。それぞれが抱える複雑な事情や切実な金銭的理由から、謎めいた企業が主催する極秘のゲーム「ビズゲーム」へと足を踏み入れた3人の若者たち。彼らは当初、これは単なる裏稼業の延長や、高額報酬を得るための「ゲーム」に過ぎないと考えていました。しかし、その実態は想像を絶するほどに過酷で、命の危険が常に伴うものでした。ゲームの真の姿が明らかになるにつれて、彼らは自らの命の価値を痛感し、生き残りをかけた戦いに身を投じていきます。

ビズゲームの概要



「ビズゲーム」とは、主に企業間で交わされる機密文書が記録されたディスクを巡る、秘密裏に行われる奪い合いのゲームです。ゲームは3人1組のチーム同士で行われ、企業に雇われたプレイヤーたちは「持ち駒」と呼ばれます。対戦チームは「HOME」と「AWAY」に分けられ、HOMEチームは自らの所属企業の機密ディスクを守り抜き、AWAYチームはそのディスクを奪うことを目的とします。制限時間内にAWAYチームがディスクを奪取できればAWAYの勝利、HOMEチームが時間終了までディスクを守り切ればHOMEの勝利となります。ゲームの告知はMDで行われ、日時、対戦相手、場所、制限時間などが録音されていますが、プレイヤーはそれを暗記し、すぐに内容を消去する義務があります。ゲームに勝利したチームには法外な賞金が支払われ、最終的な優勝賞金は一人あたり3億円にも上るとされています。

このゲームは単なる企業間の情報争奪戦ではなく、インターネット上でチームの順位が公表され、順位に応じたオッズが設定されるなど、大規模な賭博の対象となっています。プレイヤー以外の観戦は雇い主や賭けの参加者のみに許可されており、主人公たちの雇い主の言葉からは、この賭博が世界規模で行われている可能性も示唆されています。

物語が進むにつれて、主催者側のより刺激を求める意向から、ルールに追加・変更が加えられます。第10話以降の大きな変更点としては、AWAYチームもディスクを所持するようになる点、そしてゲームの舞台が廃ビルといった隔離された場所から、デパートなどの公共の場所で一般人がいる時間帯に行われるようになった点です。これにより、プレイヤーはより高度な戦略や変装などを駆使してゲームに臨む必要が出てきました。新連載版では、HOMEチームが対戦場所を指定できる、初期の説明でギャンブル性が明確に示される、AWAYチームは奪ったディスクを制限時間終了まで守り抜かなければならない、といった新たな情報やルールが追加されています。

チームAAA（ノーネーム）



物語の主人公である3人の若者、美柴鴇、中条伸人、斉藤一雄は、元々面識がありませんでした。彼らは大手企業「御堂生命」の会長によってスカウトされ、ビズゲームに参加するために急造チームを結成します。チーム名の「AAA」は「ノーネーム」と読まれます。

  • - 美柴 鴇（みしば とき）: 19歳（旧版）、デザイン系専門学校生。数年前に両親と双子の弟を失踪させて以来一人暮らし。武道の達人であり、剣道、空手、合気道などで有段者。人付き合いを苦手とする孤高な性格。新版では新宿2丁目のゲイバーでアルバイトをしています。失踪した明朗快活な双子の弟・鴫とは対照的な根暗な性格でしたが、弟の失踪後に外見を鴫そっくりに変えました。
  • - 中条 伸人（なかじょう のぶと）: 22歳（旧版）、現役青山大生。チームの参謀役を務めます。将棋の有段者で、教室で講師を務めるほどの腕前。特定の恋人はいないものの、複数の女性と関係を持っています。大金を必要とする背景には「千夏」という女性の存在が関わっているようです。高校時代に暴力団との関わりが発覚し退学になった経験があり、喧嘩の実力は非常に高いです。客観的で冷静ですが、時に冷淡とも取れる一面を持ちます。新版では医者の家庭に生まれ、暴力的な性格ゆえに父親から病院を継ぐ資格がないと言われた過去が明かされています。
  • - 斉藤 一雄（さいとう かずお）: 工業高校生で、チーム最年少。幼い頃に家族を事故で失い、児童養護施設を経て斉藤家に養子として引き取られました。養父が電気屋を営んでいる影響で、機械に詳しいです。無邪気で感情の起伏が激しい性格。特定の「先生」と手紙で交流しています。新版では17歳の高校2年生と設定が変更されており、企業側のスカウト条件との矛盾が生じています。一瞬見た見取り図を正確に把握するなど記憶力が優れていますが、やや馬鹿っぽい言動が目立ちます。

その他の登場人物



ビズゲームには、主人公たち以外にも様々なチームや人物が関わります。行政機関に雇われたチームBUG（旧版では準一、銀、ドレッドヘアの男）、旧版に登場する少年課の警察官・一ノ宮恵子、ゲームのジャッジである柳田（アニメでは一ノ宮の上司と同一人物とされる）、新版から登場するAAAの監督役・桐生などが物語に関わってきます。また、鴇の双子の弟である美柴鴫は、鴇とは対照的な性格で、物語の鍵を握る存在です。

メディア展開



原作漫画は複数の出版社から形態を変えて刊行されています。また、2001年にはOVAとしてショートアニメが制作され、2008年には独立UHF系にて全3話のテレビアニメが放送されました。テレビアニメ版は旧連載版と新連載版の内容を組み合わせて構成されています。

短いながらも濃密な物語とスタイリッシュな作風でファンを持つ作品です。

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