Beat goes on (吉川晃司のアルバム)

吉川晃司のベスト・アルバム『beat goes on』

『beat goes on』は、日本の人気シンガーソングライターである吉川晃司の初のベスト・アルバムで、1988年4月21日にSMSレコードからリリースされました。このアルバムは、彼の音楽キャリアの中で発表された全シングル曲が集められており、特に印象的なのは、彼の音楽的成長が反映された選曲です。オリコンアルバムチャートでは最高位第3位を記録し、販売枚数は15.6万枚に達しました。

背景と制作経緯

吉川は1986年ごろから渡辺プロダクションからの独立を希望していました。特にバラエティ番組への出演を避けたかった彼は、社長の渡辺晋にしばしば独立を懇願していたのです。芸能事務所に所属していたため、吉川は音楽に専念することができず、そのため「独立させてください」と何度も依頼しました。最終的に彼は、渡辺社長が映画制作に関与する際に出演することを条件に独立を許可されることとなります。映画『シャタラー』の撮影が行われたものの、社長の死が影響し内容が大幅に変更されることになりました。それに対する吉川の感情も後に語られています。

その後、6枚目のアルバム『GLAMOROUS JUMP』の制作を進めていた吉川は、創作のスランプに陥ります。不安やプレッシャーを抱えながらも、自分で設定した高いハードルに苦しむ日々を送り、「落ちるなら落ちてみよう」と判断し、事務所を退所することを決意します。1988年2月3日には、SMSレコード時代の最後のシングルなる「プリティ・デイト」をリリースしました。

リリースとチャート成績

『beat goes on』は、LP、CT、CDの3形態でリリースされました。特にCDの初回プレス分はピクチャーレーベル仕様で多くのファンに親しまれました。アルバムには全14曲が収録されていますが、一部の楽曲が除外されていることが特徴です。オリコンアルバムチャートでの登場週数は10回に及び、最終的には第3位に達しました。この成果は、吉川の音楽への情熱と才能を証明するものとなりました。

収録内容とアートワーク

収録曲には、彼の人気シングルやアルバム作品から厳選された楽曲が含まれており、アルバムの多様性を感じさせます。ただし、シングル「ラ・ヴィアンローズ」のB面曲は収録されていません。また、吉川は本作に対してジャケット写真に不満を抱いており、「勝手に選ばれた」と語っています。彼の希望とは裏腹に、過去の写真が使用されたことで、「ふざけんな」と感じたと後に告白しました。

総括

『beat goes on』は、ただのベスト・アルバムではなく、吉川晃司の音楽的旅路の一環として重要な位置づけを持つ作品です。彼のキャリアの中で交差した多くの出会いや経験が、このアルバムに凝縮されています。これにより、ファンは吉川の音楽だけでなく、彼自身の成長や変化も感じ取ることができるでしょう。今も多くのリスナーに愛され続けているこのアルバムは、吉川晃司の音楽的遺産としての価値を示しています。

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