Best Collection 麻丘めぐみ

麻丘めぐみの音楽キャリアを代表する一作として挙げられるのが、1987年11月1日にビクター音楽産業から発売されたベストアルバム『Best Collection 麻丘めぐみ』です。この作品は、彼女が1970年代にリリースした全19枚のシングルA面曲の中から、特に人気の高かった16曲をセレクトして収録しています。彼女の活動初期から中期にかけてのヒットナンバーを網羅した構成となっています。

本作に収録された楽曲は、彼女のアイドルとしての魅力を存分に伝えるものばかりです。デビュー曲にして第14回日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞した「芽ばえ」をはじめ、第15回日本レコード大賞大衆賞およびオリコンチャート1位を獲得した大ヒット曲「わたしの彼は左きき」など、誰もが知る代表曲が並びます。これらの楽曲は、筒美京平、千家和也、山上路夫といった当時の人気作家陣によって生み出され、麻丘めぐみの清純で可憐なイメージを確立しました。その他にも、以下の名曲が収録されています。

芽ばえ
悲しみよこんにちは
女の子なんだもん
森を駈ける恋人たち
わたしの彼は左きき
アルプスの少女
ときめき
白い部屋
悲しみのシーズン
雪の中の二人
水色のページ
恋のあやとり
美しく燃えながら
白い微笑
夏八景
ねえ

一方、1970年代に発表されたシングルA面曲のうち、「卒業」（1976年）、「夜霧の出来事」（1976年）、「銀世界」（1977年）の3曲は本作には惜しくも未収録となりました。

『Best Collection 麻丘めぐみ』は、その選曲の的確さから、発売後も長く定番ベスト盤として位置づけられました。特筆すべきは、1987年の初版（規格品番：VDR-28004）がリリースされて以降、収録曲目が一切変更されることなく、実に多様なタイトル名や価格帯で繰り返し再発売された点です。1989年の『Best Collection 麻丘めぐみ』（VDRY-25013）、1990年の『Best Selection 麻丘めぐみ 1972-1977』（VICL-5031）、1991年の同タイトル（VICL-5103）、1993年の『麻丘めぐみ／全曲集』（VICL-5235）、1995年の『BEST ONE 麻丘めぐみ』（VICL-5284）、1999年の『NEW BEST ONE 麻丘めぐみ』（VICL-41058）といったCD時代初期から中期にかけての様々なシリーズに組み込まれました。

さらに、2000年代に入ってもその流れは続きました。2004年には廉価版として『NEW BEST ONE 麻丘めぐみ』（VICL-41109）が、2005年にはビクターの「GOOD PRICE」シリーズとして『麻丘めぐみ』（VAL-21）および「COLEZO!」シリーズとして『 麻丘めぐみ』（VICL-41240）が、そして2007年にも再び「GOOD PRICE」シリーズで『麻丘めぐみ』（VAL-21）として発売されるなど、少なくとも10回以上の再発が確認されています。これらの再発盤の多くは、オリジナルの『Best Collection 麻丘めぐみ』と同一の収録曲構成、そしてジャケット写真も共通（一部デザイン変更あり）という特徴を持っています。このことから、本作の収録曲構成がいかにスタンダードなものとして扱われてきたかがわかります。

収録曲が刷新されたベスト盤が登場するのは、2007年に期間限定生産としてリリースされた『Essential Best 麻丘めぐみ』を待つことになります。また、1970年代のシングルA面曲だけでなく、B面曲も含めた全シングル曲を網羅した決定版ともいえる2枚組ベスト『GOLDEN☆BEST 麻丘めぐみ』が発売されたのは、さらに後の2009年のことでした。

このように、『Best Collection 麻丘めぐみ』は、麻丘めぐみのアイドル時代の中心となるヒット曲を厳選して収録し、四半世紀以上にわたり同じ内容で繰り返し再発され続けたロングセラーベスト盤です。彼女の魅力的な歌声と楽曲の世界に触れるための、まさに定番の入門編と言えるでしょう。

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