Best Pack

アルバム概要

『Best Pack』（ベスト パック）は、日本のシンガーソングライター、竹内まりやが1986年11月15日に発表したベストアルバムです。RCA/RVCレコードからリリースされたこの作品は、公式の選曲ではなく、いわゆる非公認ベスト盤として位置づけられており、彼女にとって通算4枚目の非公認ベストアルバムにあたります。

このアルバムの最大の特徴は、収録メディアがCDのみであった点です。当時まだアナログレコードやカセットテープが主流であった時代に、CDという新しい媒体のみでの発売は珍しく、先進的な試みとも言えます。RCA在籍時代（1978年から1981年）に発表された楽曲の中から、シングルとしてリリースされた代表曲や、当時のオリジナルアルバムに収められていた人気曲がセレクトされています。

発売当初のオリジナル盤は既に廃盤となっていますが、1997年には一度再発売されており、この再販盤は現在でも市場で入手が可能です。ただし、それ以外の形態やバージョンは廃盤となっており、現在新品で手に入れられるのは1997年盤のみに限られています。

収録曲とその解説

『Best Pack』には、竹内まりやがRCA時代に残した名曲が多数収録されています。以下にその収録曲と、それぞれの楽曲が発表された当時の背景を簡単に紹介します。

不思議なピーチパイ: 1980年にリリースされた通算4枚目のシングル。化粧品のCMソングとして広く知られ、彼女の初期の代表曲の一つとなりました。
September: 1979年発表の3枚目のシングル。夏の終りをテーマにした切ないメロディが印象的な楽曲で、彼女の初期のヒット曲として人気が高いです。
ドリーム・オブ・ユー 〜レモンライムの青い風〜: デビューから間もない1979年に発売された2枚目のシングル。爽やかな風を感じさせる初期の代表曲です。
Natalie: 1981年にリリースされた9枚目のシングル曲。この曲もRCA時代後期のシングルとして知られています。
リンダ: オリジナルはアン・ルイスに提供された楽曲で、本作には1981年の5枚目のオリジナルアルバム『Portrait』に収録されたセルフカバーバージョンが収められています。
Morning Glory: 1980年の6枚目シングル『Sweetest Music』のB面曲として発表されました。B面ながらもファンからの評価が高い隠れた名曲です。
戻っておいで・私の時間: 1978年に発表された記念すべきデビューシングルであり、彼女の音楽活動の原点となる楽曲です。
すてきなヒット・ソング: 1978年のファーストアルバム『BEGINNING』からの選曲。アルバム初期の彼女の音楽性を伝える一曲です。
悲しきNight & Day: 1981年の7枚目シングル『イチゴの誘惑』のカップリング曲。シングルB面にも魅力的な楽曲が多いことを示しています。
涙のワンサイデッド・ラヴ: 1979年の3枚目シングル『September』のB面に収録されていた楽曲。両A面のような評価を得ているカップリング曲です。
象牙海岸: 1980年の3枚目のオリジナルアルバム『LOVE SONGS』に収録。アルバムからの人気曲としてセレクトされました。
夏の恋人: こちらも1978年のファーストアルバム『BEGINNING』からの楽曲。初期の瑞々しい魅力が感じられる一曲です。
遠く離れて (When You're So Far Away): 1980年の5枚目シングル『二人のバカンス』のB面曲。スケールの大きなバラードです。
突然の贈りもの: 再びファーストアルバム『BEGINNING』からの選曲。後に多くのアーティストにカバーされる名曲です。
* FLY AWAY: 1980年の3枚目のオリジナルアルバム『LOVE SONGS』からの楽曲。アルバムを彩る重要な一曲として収められています。

このように、『Best Pack』は、非公認ながらも竹内まりやのRCA時代のキャリアを網羅する形で、シングルA面曲からB面曲、オリジナルアルバムからのセレクト、さらにはセルフカバー曲まで、幅広い楽曲をバランス良く収録しています。CDのみという媒体の特異性も含め、当時の音楽ソフト流通の一端を示す資料的な価値も持つアルバムと言えるでしょう。

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