Blue rondo

blue rondo（ブルーロンド）

映画『blue rondo』は、俳優としても活動する須藤蓮がメガホンを取った長編監督作品の第二弾にあたります。2022年12月9日に開催された「MOOSIC LAB 2023」の特別プログラム内で、初披露されました。その後、作品は再編集を経て、タイトルを新たに『ABYSS アビス』と改題されています。

製作背景とプロセス

本作の企画は、2020年に始まりました。須藤監督は、自身の長編初監督作品『逆光』で高く評価された脚本家・渡辺あやと再びタッグを組み、一年以上の歳月をかけて、共同で緻密な脚本を練り上げました。翌2021年3月からは、物語を紡ぐ主要キャストたちのオーディションが開始されます。

本格的な撮影は、2021年10月18日にクランクインを迎えました。本編部分の撮影は順調に進み、わずか2週間足らずの同年11月1日には早くもクランクアップ。その後、編集やポストプロダクションを経て、2022年12月に作品は完成に至りました。

タイトルに込められた意味

作品のタイトルである「blue rondo」には、深い詩的な意味合いが込められています。「blue」は一般的に「青」を意味する色であると同時に、英語では「憂鬱」や「悲しみ」といった感情を表現する言葉としても使われます。一方、「rondo」（ロンド）は楽曲の形式の一つで、主要な旋律が何度も繰り返され、その間に異なる旋律が挟み込まれる構成を指します。

これらの言葉を組み合わせることで、『blue rondo』というタイトルは、「人生の中で、形を変えたり状況は異なったりしながらも、幾度となく同じように繰り返されてしまう、避けがたい憂鬱や苦悩の旋律」という、本作の核となるテーマや世界観を見事に象徴しています。

物語と登場人物

本作は、23歳の青年・ケイを主人公にした物語です。彼は渋谷にあるバーでアルバイトをしながら、日々の生活を送っています。主人公のケイを演じるのは、監督自身である須藤蓮です。物語には、ケイの兄から心無い扱いを受けた過去を持つ女性・ルミが登場し、佐々木ありさが演じています。他にも、夏子が演じるヒカル、浦山佳樹が演じる高橋、三村和敬が演じるコウキといった個性的な人物たちが登場し、彼らの関係性や内面を通して、現代社会に生きる若者たちの抱える葛藤や孤独、そして人間関係の複雑さが描かれていると推測されます。

スタッフ・キャスト

主要なキャストとして、主人公ケイを須藤蓮、ルミを佐々木ありさが演じ、夏子、浦山佳樹、三村和敬らが脇を固めます。監督と共同脚本は須藤蓮と渡辺あや。音楽は辻田絢菜が担当し、岩崎太整が音楽プロデューサーを務めました。撮影は須藤しぐま、照明は寺本慎太郎、録音は五十嵐猛吏が担当するなど、若手を中心とした才能が集結しています。プロデューサーは上野遼平と有馬顕、エグゼクティブプロデューサーは小川真司が名を連ねています。美術、衣装、ヘアメイクなども含め、それぞれの分野のスタッフが作品世界を構築しました。

製作体制とロケ地

本作は、「blue rondo」製作委員会の製作のもと、ブリッジヘッドが製作プロダクションとして制作実務を担いました。撮影は、渋谷のバーやボウリング場（シブヤボウリング、バグース道玄坂店など）といった都市空間から、浅草、南房総市（撮影協力）など、多岐にわたる場所で行われました。焼肉ここから、小鳥庭コトリバ松大東京、NEVERLAND TOKYO、京王バス、LAG SPACE、浅草よろず茶屋444、HOTEL APiO、ホテルみかさ、ペンション アル・モール、アオキストアー、コーヒー専科れんらく船などが、ロケ地として使用され、物語の舞台に彩りを加えています。

『blue rondo』（後の『ABYSS アビス』）は、気鋭の映画人たちが集結し、現代的なテーマを普遍的な視点から描こうとした意欲作と言えるでしょう。

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