Buck (ソフトウェア)

Buck：Meta社開発の多言語対応ビルドシステム

Buckは、Meta（旧Facebook）によって開発・利用されている、多言語対応のビルドシステムです。このシステムは、モノレポ（monorepo）内に格納されたコードとリソースから、小さく再利用可能なモジュールをビルドするために設計されました。多様なプログラミング言語とターゲットプラットフォームをサポートしており、効率的なビルドプロセスを実現します。

対応言語とプラットフォーム

Buckは、以下のプログラミング言語をソースコードの入力としてサポートしています。

C++（Objective-C、Swiftを含む）
Shell
Java（Kotlin、Groovyを含む）
Python
Lua
OCaml
Rust
Go
その他

また、iOS、Android、.NET、Java VMランタイムなど、様々なターゲットプラットフォーム向けのバイナリ出力を生成できます。

ライセンス

Buckは、Apache License 2.0の下でライセンスされています。これは、オープンソースであり、自由に利用、変更、配布できることを意味します。

Buckの特徴

Buckは、以下の特徴を持っています。

明示的な依存関係の宣言: すべての依存関係は明示的に宣言される必要があります。これにより、ビルドプロセスの透明性と正確性が向上します。
シンボリックリンクツリー: シンボリックリンクツリーの使用を強制します。これにより、ビルド環境の一貫性を保ちます。
有向非巡回グラフ: Buckは、すべてのソースファイルとビルドターゲットの有向非巡回グラフ（DAG）を保持します。これにより、依存関係を効率的に管理し、ビルドの並列化を促進します。
インクリメンタル再コンパイル: Buckは、ターゲットのダウンストリームで変更されたファイルのみを再ビルドするインクリメンタル再コンパイルを実行できます。これにより、ビルド時間を大幅に短縮できます。
ビルドキャッシュ: Buckは、各ターゲットに対して、依存しているファイルのコンテンツハッシュをキーとして計算し、ビルドキャッシュ内にキーからビルド対象へのマッピングを保存します。これにより、同じ入力に対して何度もビルドする必要がなくなり、ビルド時間を短縮できます。
HTTP Cache APIのサポート: ターゲットがコンテンツの決定的な関数である場合、BuckはHTTP Cache APIをサポートします。これにより、ビルドキャッシュを開発者や継続的インテグレーション（CI）環境で共有できます。

Buckの利点

Buckを使用する主な利点は以下の通りです。

高速なビルド: インクリメンタルビルドとキャッシュ機能により、ビルド時間を短縮できます。
正確なビルド: 明示的な依存関係の宣言により、ビルドの信頼性が向上します。
柔軟なビルド: 複数の言語とプラットフォームに対応しているため、様々なプロジェクトで使用できます。
共有可能なビルド: ビルドキャッシュを共有することで、開発チーム全体の生産性を向上させることができます。

まとめ

Buckは、Meta社が開発した高性能なビルドシステムです。モノレポ環境での効率的な開発を支援し、多言語、多プラットフォームに対応しています。インクリメンタルビルド、キャッシュ機能、そして明示的な依存関係管理により、高速で信頼性の高いビルドプロセスを実現します。

関連項目

ビルド自動化
ビルド自動化ソフトウェアのリスト

外部リンク

公式ウェブサイト

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