C'mon

B'zの18枚目のオリジナルアルバム『C'mon』：震災を乗り越え誕生した力強い作品

2011年7月27日、日本の音楽ユニットB'zは18枚目のオリジナルアルバム『C'mon』をリリースしました。前作『MAGIC』から1年8ヶ月ぶりとなる本作は、数々の話題と記録を打ち立てた、B'zの歴史に刻まれた重要な作品です。

アルバム制作：ソロ活動と震災という試練

『C'mon』の制作は2010年5月から始まりましたが、メンバーのソロ活動により中断、同年11月から再開され、約1年の歳月をかけて完成しました。制作過程では、ディスコ調の楽曲も生まれたとのことです。 完成間近には東日本大震災が発生し、制作は一時完全にストップ。楽曲制作全体を「震災前」と「震災後」に分けざるを得ない状況に陥り、アルバムタイトルの選定にも苦労が伴ったようです。

アルバムタイトル『C'mon』に込められた思い

最終的にアルバムタイトルに選ばれた『C'mon』は、震災後に制作されたタイトル曲でもあります。このタイトルには、B'zのバンドとしての姿勢、そして震災後も活動を続ける決意が込められています。稲葉さんはリリース後のライブで、「『C'mon』というタイトルには、“一緒に”という気持ちを強く強く込めました」と語っており、困難を乗り越え、ファンと共に歩むというメッセージが感じられます。

オリコンチャート1位と8000万枚突破

『C'mon』は、1990年の『RISKY』以来、オリジナルアルバム15作連続でオリコンチャート初登場1位を獲得。シングルとアルバムを合わせた首位獲得作品数は通算70作目という記録を達成しました。さらに、発売週の売上により、B'zのCD総売上枚数がオリコン史上初の8000万枚を突破する快挙も成し遂げました。

多様なCM、そしてアナログ盤化

アルバムのCMは複数パターン制作され、北米ツアーの映像や、松本さんと稲葉さんの曲名しりとり、アコースティック演奏など、バラエティに富んだ内容でした。マツコ・デラックスさん単独出演のCMもあったことは、当時話題となりました。また、2018年にはB'z結成30周年を記念して、『DINOSAUR』までのオリジナルアルバムと共にアナログレコード化され、多くのファンを喜ばせました。

楽曲解説：多様なサウンドと社会への視点

全13曲それぞれの魅力も注目に値します。タイトル曲「C'mon」は、アコースティックギターから始まるペプシネックスCMソングで、YouTubeでフルコーラスが公開されています。 他にも、シングル曲「さよなら傷だらけの日々よ」「Don't Wanna Lie」や、NHK教育テレビ『青春リアル』のエンディングテーマ「DAREKA」、アニメ『名探偵コナン』のエンディングテーマ「ピルグリム」、そして世界水泳上海2011大会公式テーマソング「ultra soul 2011」など、様々なタイアップ曲も収録。様々な音楽的試みが見られ、「Too Young」は昭和歌謡を思わせる松本さんのこだわりの楽曲であり、ライブでは演奏されなかった唯一の作品となりました。「ボス」は社会風刺的な歌詞が印象的で、震災後制作された「C'mon」と同様に、メンバーにとって特別な思い入れのある曲です。

参加ミュージシャンと豪華な演奏陣

楽曲制作には、B'zの2人以外にも多くのミュージシャンが参加しています。ドラムにシェーン・ガラース、ベースにバリー・スパークス、そしてDIMENSIONのメンバーである小野塚晃さんや勝田一樹さんなど、豪華な演奏陣が『C'mon』の世界観を彩りました。

ライブでの演奏

多くの楽曲が『B'z LIVE-GYM 2011 -C'mon-』を始めとする様々なライブツアーで演奏され、多くのファンを魅了しました。「C'mon」はツアーのラストを飾る定番曲となり、『B'z LIVE-GYM Pleasure 2013 -ENDLESS SUMMER-』や『B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820-』でも演奏されました。

『C'mon』は、音楽的な挑戦と社会情勢への反映、そしてB'zの揺るぎないバンドとしての姿勢を凝縮した、まさに歴史的な一枚と言えるでしょう。

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