C-1隠岐諸島沖墜落事故

C-1隠岐諸島沖墜落事故について

2000年（平成12年）6月28日、島根県隠岐諸島の北北西約50km沖で、航空自衛隊のC-1輸送機が墜落しました。この事故により、搭乗していた5名の隊員全員が殉職するという、非常に痛ましい結果となりました。

事故の概要

発生日時: 2000年6月28日午後2時36分頃
発生場所: 島根県隠岐郡、隠岐諸島北北西約50km沖
所属: 航空自衛隊美保基地 第3輸送航空隊
機体: C-1輸送機（シリアルナンバー88-1027、1978年製造）

この事故は、美保基地を離陸したC-1輸送機が飛行試験中に姿勢を回復できずに墜落したものです。事故当日の天候は良好でしたが、試験飛行中に何らかの異常が発生し、結果としてこのような悲劇につながってしまいました。

事故に至る経緯

事故機は、定期点検を終えたばかりで、6月28日に飛行試験が計画されていました。この試験には、機長のA3等空佐（当時41歳）、副操縦士のB2等空尉（当時26歳）のほか、機上整備員1名、整備員1名、空中輸送員1名の計5名が搭乗していました。機長のA3佐は6500時間以上の飛行経験を持つベテランパイロットでしたが、副操縦士のB2尉は500時間程度の飛行経験で、副操縦士の資格を取得したばかりの若手パイロットでした。

試験内容は、低速での失速状態への接近、エンジン停止後の再始動、飛行中のドア開閉など、通常よりも難易度の高いものが含まれていました。事故当日の午後2時7分頃に美保基地を離陸し、飛行は順調に進んでいました。しかし、午後2時35分頃、失速状態に近づける試験中に、春日防空指令所が内容を判別できない乗員の音声を受信。その直後の午後2時36分頃にレーダーから機影が消え、墜落に至りました。

事故後の対応

事故発生当日には、機体の破片と救命胴衣が回収され、その後、隠岐島西約45kmの海底で機体の一部とともに、7月10日までに4名の遺体が、7月11日には残りの1名の遺体が発見されました。事故原因の究明のため、徹底的な調査が行われました。

事故がもたらした影響

この事故は、航空自衛隊における安全管理体制を見直すきっかけとなりました。特に、前年から死亡事故が続いていたこともあり、この事故を受けて、7月1日が「航空自衛隊安全の日」として制定され、全国の基地で安全教育が徹底されるようになりました。この事故は、二度と繰り返してはならない教訓として、航空自衛隊の歴史に深く刻まれています。

関連事項

* 航空自衛隊安全の日：本事故を含む一連の墜落事故を契機に制定されました。航空自衛隊の安全意識向上を目的としています。

この事故で亡くなられた5名の方々のご冥福を心よりお祈りいたします。

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