CAFE JAPAN

玉置浩二『CAFE JAPAN』：音楽と人生が交錯する場所

『CAFE JAPAN』は、日本の音楽家、玉置浩二が1996年9月13日に発表した5枚目のオリジナル・アルバムです。前作『LOVE SONG BLUE』から約1年9ヶ月ぶりとなる本作は、玉置浩二と須藤晃がプロデュースを手掛け、作詞はほぼ全曲を玉置と須藤が、作曲は全曲を玉置が担当しています。

制作背景

前作リリース後、玉置は初の詩画集出版や絵画展開催など、音楽以外の分野にも活動の幅を広げました。1995年にはシングル「STAR」のリリース、ライブツアーの開催、初のライブアルバム『T』の発表と精力的な活動を展開。俳優としてもNHKドラマに出演し、高い評価を得ました。1996年には映画出演や大河ドラマ『秀吉』での足利義昭役など、多方面で才能を発揮しました。

録音

レコーディングは1996年、ソニー・ミュージック信濃町スタジオなど国内の様々なスタジオで行われました。玉置自身がほぼ全ての楽器を演奏しており、安藤さと子と藤井丈司がプログラミングとキーボードで参加しています。プロデュースは玉置と須藤晃が共同で担当。「ファミリー」は同年死去したフランキー堺への追悼歌として制作され、歌詞カードにも彼の名前が記載されています。

音楽性と歌詞

本作には大ヒット曲「田園」が収録されています。この曲は、玉置が人生で最も苦しんでいた時期の心情を歌ったもので、彼自身「まさにやりたかったこと、歌いたかったこと」と語るように、強い思い入れが込められています。

音楽情報サイト『OKMusic』のレビューでは、1曲目「ファミリー」のシアトリカルな演出、2曲目「CAFE JAPAN」の様々な要素が混ざったロックサウンド、3曲目「田園」のポップミュージックとしての完成度の高さ、4曲目「ヘイ! ヘイ!」のローリング・ストーンズへのオマージュ、5曲目「STAR」のサイモン&ガーファンクルを彷彿とさせる雰囲気、6曲目「SPECIAL」のモータウンサウンド、7曲目「フラッグ」のキャッチーなメロディ、8曲目「Honeybee」のサイケデリックなファンク、9曲目「愛を伝えて」と10曲目「あの時代に…」のバラード、そして11曲目「メロディー」での安全地帯メンバーの参加などが詳細に分析されています。

リリースとプロモーション

1996年9月13日にCDとMDでリリース。初回限定版は3Dジャケット仕様でした。2018年にはBlu-spec CD2、紙ジャケット仕様で再リリースされています。

「田園」は玉置主演のドラマ『コーチ』の主題歌、「ヘイ!ヘイ!」は協和発酵「アジアン」のCMソング、「STAR」は東京電力のCMイメージソング、「愛を伝えて」はバラエティ番組のテーマソング、「メロディー」は報道番組『NEWS23』のエンディングテーマとして使用されました。

アートワーク

ジャケット写真は「田園」のPVで玉置が披露したコスプレ姿が使用されています。魔法使い、仮面の男、中国人、農夫など、様々なキャラクターに扮した玉置が写っており、それぞれに設定が存在します。玉置は「このカフェ・ジャパンに人生で迷ったヤツが来る!」と語り、アルバム全体のコンセプトを表現しています。

ツアー

アルバム発売と同日にスタートした全国ツアー「Concert Tour 1996 CAFE JAPAN」は、42都市45公演に及びました。しかし、ツアー中に玉置が体調を崩し、憩室炎で入院する事態となりました。

評価とチャート成績

音楽情報サイト『CDジャーナル』は、玉置が自然体で楽しんで歌っている点を評価し、「聴いてて元気になるような歌ばかり」と称賛。ほぼ全ての演奏を玉置自身が手掛けている点も評価しました。

オリコンチャートでは最高位4位、売上枚数は43.4万枚を記録し、玉置のソロアルバムとして最大のヒット作となりました。2022年の人気アルバムランキングでは3位に選ばれています。

『CAFE JAPAN』は、玉置浩二の音楽的な才能と人間性が溢れる、聴きごたえのあるアルバムです。彼の音楽に対する情熱と、人生の喜怒哀楽が凝縮された作品と言えるでしょう。

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