CAMシップ

CAMシップとは

CAMシップ（Catapult Aircraft Merchant Ship）とは、第二次世界大戦の初期にイギリス海軍によって使用されたカタパルト装備の商船を指します。これらの船は航空機1機を搭載し、敵機への応戦を目的としていました。本記事では、CAMシップの概要や運用、成果について詳しく説明します。

背景

第二次世界大戦が始まると、1940年の中頃までに北欧からスペインにかけてのヨーロッパ沿岸は、ドイツ軍の支配下に置かれました。この状況では、基地から発進したドイツの長距離爆撃機がイギリスの輸送船団に対する大きな脅威となりました。護衛する空母も不在で、自軍の航空支援も十分でない中で、イギリスの船団は次々と攻撃を受け、特に長距離航空機による被害が深刻でした。

これに対抗するため、イギリス軍は商船にカタパルトを取り付け、戦闘機を搭載する改造を行いました。初めに試験的に改造されたのは商船3隻と水上機母艦「ペガサス」、そして特務艦1隻の合計5隻でした。これらの改造船は「戦闘機カタパルト艦」（Fighter Catapult Ship）と呼ばれ、海軍籍で運航されました。

CAMシップの開発

この新しい戦法が効果的であることが確認されると、イギリス海軍はさらなる改造を進め、最終的に50隻の商船をCAMシップとして改造することが決定されました。改造内容には、船首から第1ハッチまでのカタパルトの設置が含まれ、搭載される航空機はハリケーンかフルマーとされました。航空機の操縦はイギリス空軍のパイロットが担当しましたが、他の乗組員はすべて民間人でした。船倉には通常の貨物が詰め込まれ、商船としての運航が維持されました。

改造は35隻で終了し、その後、護衛空母やMACシップの就役に伴い、CAMシップの必要性は減少していきました。生き残った船は、通常の商船として再改装されました。

作戦行動

敵航空機が妹船団上空に現れると、CAMシップから戦闘機が発進し、できる限りの燃料で敵機を迎撃しました。搭載された航空機には着艦設備がなかったため、発進後は友軍施設に戻るか、近くの海にパラシュート降下または不時着水をする必要がありました。このため、敵機を撃退した戦闘機が燃料不足で墜落することや、脱出したパイロットが救助される前に命を落とすケースがあり、大きな危険を伴いました。

戦果

CAMシップから発進した戦闘機による初の撃墜は1941年8月初旬、商船「マプリン」から発進したハリケーンにより達成されました。この戦果以降、年内に6機を撃墜する成果を上げました。その他の具体的な戦果としては、1942年のQP12船団において商船「エンパイア・モーン」搭載機が爆撃機1機を撃墜するも、撃墜したパイロットは海上で死亡してしまいました。また、PQ16船団での「エンパイア・ローレンス」においても撃墜したが船は沈没してしまい、パイロットは救助されたものの命を落としてしまいました。さらに、PQ18船団ではハリケーンが敵攻撃機を撃退し、友軍の基地に着陸しました。

このように、CAMシップは第二次世界大戦における特異な運用形態であり、戦闘機を商船に搭載する試みが行われたことを示しています。

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