MACシップ

MACシップ：第二次世界大戦における簡易航空母艦

概要

MACシップ（Merchant Aircraft Carrier）は、商船に飛行甲板を設けた簡素な航空母艦であり、主に第二次世界大戦の初期にイギリス海軍によって使用されました。この艦船は、ドイツ軍の通商破壊活動に対抗するために設計され、船団護衛の任務を担いました。まずは、ドイツ軍によって北大西洋における輸送活動が脅かされたことから、イギリスの商船が多数沈められる事態が発生し、その対策として航空機による護衛が求められました。

戦争の背景

第二次世界大戦の早期には、ドイツ軍のUボートやFw200爆撃機が、イギリスに対して厳しい通商破壊を実施していました。これにより、多くのイギリス商船が敵の攻撃によって沈められることとなり、イギリスは深刻な供給危機に直面しました。このため、イギリス海軍は航空機の活用による船団護衛策を模索せざるを得なかったのです。

当時、イギリス海軍は航空機の数が不足しており、従来の航空母艦や哨戒機では十分な対抗が難しかったことから、急遽取った策が、商船の改造によるCAMシップの導入でした。この商船には、戦闘機を搭載するための簡易なカタパルトが追加され、出撃後は水上に不時着水して搭乗員が救助される形で運用されました。しかし、この方法には限界があり、さらなる改善策が求められるようになりました。

MACシップの開発

このような経緯から考案されたのがMACシップです。商船の上部に全通型の飛行甲板を設け、航空機の運用を可能にすると同時に、商業的な貨物運送能力も保持しました。ただし、積載する油は安全性の高い重質油に限定されました。この艦船は民間人船員によって運航され、航空関係の人材のみが軍に属していました。

最初のMACシップは1943年7月に竣工したエンパイア・マックアルペインであり、これは穀物運搬船を改装して製造されたものです。出撃可能な機数は4機で、MACシップとしては19隻が改造されました。これらの艦船は、護衛空母が就役するまでの間、船団護衛の一翼を担う役割を果たしました。

艤装要領

MACシップの艤装は、商船の原型によってわずかに異なる部分もありますが、一般的には130mから140mの飛行甲板を設置し、右舷には小型の船橋構造物を備えています。飛行甲板には、着艦用の制動索が設置され、特徴として各級共通して露天係止の形態が採られました。

具体的には、ラパナ級とエンパイア・マッケイ級は格納庫を持たず、船体上に露天で機体を係留していました。一方で、エンパイア・マックアルペイン級のみが格納庫とエレベーターを備えていました。搭載される航空機は、ソードフィッシュという艦載機が用いられ、小型ではあるものの、十分な機能を発揮しました。

各級の概要

• - エンパイア・マックアルペイン級（7,930トン）：穀物運搬船から改装され、6隻が建造されました。
• - ラパナ級（11,009トン）：オイルタンカーを元に改装され、合計9隻が建造。
• - エンパイア・マッケイ級（11,246トン）：こちらもオイルタンカーを改装した艦で4隻建造されました。

終わりに

MACシップは、船団護衛の分野において重要な役割を果たしましたが、護衛空母の導入に伴い、その必要性は低下しました。戦争後半には商船としての運用に戻され、その存在は歴史の中で一時的なものでした。

また、オランダ船籍のタンカー改造のMACシップは、自由オランダ軍の航空要員によって運航されるなど、国際的な協力も見られました。

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