CAMM

共通モジュール式対空ミサイル（CAMM）

共通モジュール式対空ミサイル、通称CAMM（Common Anti-Air Modular Missile）は、イギリス軍の最新の防空ミサイルシステムです。このミサイルは、短距離の対空防御や艦船の防空能力を強化するためにMBDA社によって開発されました。CAMMは、将来の区域防空システムに必要とされる能力を持つことを目的としており、イギリス国防省のFLAADS（Future Local Anti-Air Defence System）計画に合わせて展開されています。

CAMMの種類と用途

イギリス海軍向けのCAMMは、シーセプター（Sea Ceptor）とも呼ばれ、2016年以降にシーウルフミサイルの後継として配備される計画があります。一方で、陸上での運用を目的とした短距離防空ミサイルではスカイセイバー（Sky Sabre）と呼ばれ、直接的にはCAMM(L)またはランドセプター（Land Ceptor）という名称で知られています。これは、2020年以降にレイピアミサイルの後継として運用が開始される予定です。また、空対空ミサイルとしての機能を持つCAMM(A)も開発が提案されています。

CAMMの設計は、イギリス空軍の短距離空対空ミサイルASRAAMをベースにしていますが、その誘導技術には違いがあります。ASRAAMが赤外線画像誘導方式（IIR）を使用するのに対し、CAMMはアクティブ・レーダー・ホーミング（ARH）方式を採用しており、より高度な自動追尾能力を持っています。

発射システム

CAMMとシーセプターは、ソフト・バーティカル・ランチ（SVL）という新しい発射システムを使用しています。このシステムでは、ミサイルはまず発射機のピストンによって射出された後、空中で固体燃料ロケットモーターが点火されます。また、シーセプターはシーウルフと比較して、同じ発射容積に4発のミサイルを搭載できる特長があります。

運用状況

イギリス海軍向けのシーセプターは、2018年5月から運用が開始され、23型フリゲート「アーガイル」が初めての搭載艦となりました。この艦は従来のシーウルフミサイルを置き換えて、最新技術に基づいた防空能力を提供しています。

陸軍向けのランドセプターは、2021年12月にスカイセイバーシステムとして運用が開始され、翌年1月には実際の運用がスタートしました。同月には、既存のレイピアシステムとの入れ替えが進められ、フォークランド諸島への配備が発表されました。さらに、ロシアのウクライナ侵攻に伴い、NATOの防衛力強化に資する形で、スカイセイバーがポーランドにも配備される計画があります。

このように、共通モジュール式対空ミサイル（CAMM）は、イギリス軍が先進的な防空システムを構築する上で、中核的な役割を果たすことが期待されています。新たな技術の導入によって、迅速かつ効果的に脅威に対抗し、国を守るための重要な手段となるでしょう。

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