CIVT-DT

CIVT-DT (チャンネル32)

カナダのブリティッシュコロンビア州バンクーバーに位置するCIVT-DTは、CTVテレビジョンネットワークにおいて西海岸の主要な旗艦局としての役割を担っています。この放送局は、親会社であるベル・メディアによって直接運営されており、ビクトリアに拠点を置くCTV 2加盟局のCIVI-DT（チャンネル53）も同じくベル・メディア傘下にありますが、両局はそれぞれ独立した運営体制を維持しています。

CIVT-DTのスタジオは、バンクーバー中心部の賑やかなロブソン・ストリートとバラード・ストリートが交差する場所、ロブソン・ストリート969番地に設けられています（この住所はバラード・ストリート750番地とも呼ばれ、バンクーバー公共図書館の中央分館と同じ建物内に位置します）。ここには、CTVネットワーク自体のブリティッシュコロンビア州事業所も含まれており、『CTVナショナルニュース』のバンクーバー支局もここから運営されています。一方、送信所はノースバンクーバー地区自治体内のシーモア山の山頂に設置されています。

放送局の詳細と特性

CIVTは、ブリティッシュコロンビア州および太平洋標準時エリアにおいて、唯一の本格的なCTV加盟局としての地位を持っています。しかし、その地上波送信所は一つに限られており、33 kWの実効放射電力で送信されているものの、地上波信号が届く範囲はバンクーバーやローワー・メインランド、そして隣接するアメリカ・ワシントン州のワットコム郡に限られています。残念ながら、ビクトリアやバンクーバー島へは直接信号が届きません。

このため、ブリティッシュコロンビア州の大部分、特に内陸部への到達は、ケーブルテレビと衛星放送による配信に全面的に依存しています。この配信への依存は、州内広範囲への地上波カバーがないことから、CTVネットワークの弱いリンクと見なされることもあります。しかし、州の多くの地域でテレビ視聴にケーブルや衛星が不可欠であるため、理論上は大きな問題にはなりにくい側面もあります。ただし、州の山岳部標準時地域では、より高いチャンネル番号で表示されるか、全く利用できない場合があります。このため、ブリティッシュコロンビア州南東部ではカルガリーのCFCNが、北東部ではエドモントンのCFRNが、歴史的にその地域のデフォルトのCTV加盟局として機能してきました。

かつて2012年にCBCテレビジョン直営局のCBUT-DT（チャンネル2）が資金削減により再放送局網を閉鎖するまで、CIVTはカナダの主要3ネットワークの中で、バンクーバーの内環状線の外側でケーブルおよび衛星放送のみに依存していた唯一のバンクーバー局でした。

技術的な特徴として、CIVTはデジタル移行以前に、主要信号をUHF帯で放送していた唯一のCTVネットワーク局でした。カナダでは、コールレターでの識別が技術的に求められているものの、実際には多くの放送局がブランド名で認識される傾向にあり、CIVTも放送中は単に「CTV」と名乗っています。チャンネル参照が必要な場合は、ブリティッシュコロンビア州南西部の大半のケーブルシステムで慣例的に使用される主要なケーブルチャンネル番号「チャンネル9」が用いられます。過去の「VTV」時代には、赤い円の中に白い「9」がロゴの一部として頻繁に使用されていました。

歴史

CIVTの設立に至るプロセスは、1990年代半ばに始まりました。ロジャーズ・コミュニケーションズやキャンウエスト・グローバル・コミュニケーションズなどが、バンクーバー・ビクトリア市場での新規テレビ局開設を巡って、カナダ・ラジオテレビ通信委員会（CRTC）に申請を提出しました。CRTCはこれを受けて公募を行い、最終的に5つの申請案が検討されました。提案されたのは多文化放送局、既存局の増設、そしてバンクーバーに特化した独立局の設立など多岐に渡りました。

1997年1月31日、委員会はバトン/エレクトロホーム・アライアンスの申請を承認し、他の申請を却下しました。承認の決め手となったのは、バンクーバーで制作される新しい番組（『ヴィッキー・ガベロー・ショー』など）を、バトンおよびエレクトロホームが所有する全ての系列局で放送するという、広範なコンテンツ提供の約束でした。

1997年9月22日、CIVTは「バンクーバー・テレビジョン」（Vancouver Television、略称：VTV）として開局しました。当初のニュース放送は、トロントのCITY-TVの形式に倣った革新的なスタイルを採用していましたが、後に従来型の形式へと移行し、『VTVニュース』と改称されました。

開局当初、VTVはバトン・ブロードキャスト・システム（BBS）から番組の州内権利を引き継ぎましたが、CTVとの長期提携契約はCHAN-TVとCHEK-TVが保持していました。このため、VTVはスケジュール上の空き時間を埋めるために、トロントのCITY-TVからの番組や、CTVが全国放送を見送った一部のシリーズなどを放送しました。

1997年末までに、バトン・ブロードキャスティングはエレクトロホームの放送事業を買収し、CIVTとCTVネットワークの完全な支配権を掌握しました。これにより、CIVTが早期にバンクーバーのCTV加盟局となることは公然の秘密となりましたが、既存の提携契約が満了するまではVTVとして運営を続けました。

2001年9月1日、ブリティッシュコロンビア州南西部のテレビ市場における大規模なネットワーク再編成の一環として、CIVTはついに完全なCTVネットワーク局となりました。これと同時に、CHANはグローバル系列局へ、CHEKはキャンウエストの二次ネットワークであるCH（後の「E!」）へ移行しました。CIVTはCTV局となって以降、全国的なCTVスケジュールから大きく外れることはほとんどなくなりました。

CTV局化に伴い、CIVTは当初「BC CTV」というブランドを使用しましたが、視聴者の間で当時「BCTV」として知られていたCHANとの混同を招き、後に単に「CTV」として識別されるようになりました。非公式にはケーブルチャンネル番号から「CTV 9」とも呼ばれました。2004年3月には、カナダ西部で初めてフルタイムのニュースヘリコプター「Chopper 9」を導入しました（2020年運用終了）。

番組編成

CTV直営局となった初期の約10年間、CIVTは番組権利に関連する歴史的な事情から、『オプラ・ウィンフリー・ショー』を放送しなかった唯一のCTV局でした。これは、ブリティッシュコロンビア州におけるこれらの番組の権利をCHANが保持していたためです。CHANが2011年に『オプラ』の放送を終了するまで、CIVTはこの時間枠を別の番組（後に全国放送された『エレンの部屋』など）で埋めていました。

同様に、『ホイール・オブ・フォーチュン』と『ジェパディ!』のシンジケート版も、他のCTV直営局で放送されていた時期にCIVTでは放映されず、代わりにシットコムの再放送などが放送されていました。これらのゲーム番組の地域権利はCHANからCHEKなどに移り、最終的に2012年にはCHEKに戻りましたが、CIVTはそのローテーションから外れたままでした。しかし、2021年にネットワークプライムタイムで『セレブリティ・ホイール・オブ・フォーチュン』、2022年に『セレブリティ・ジェパディ!』が始まり、これらのバージョンは初めてCIVTでも放送されるようになりました。

現在、CIVTの番組編成は、カナダとアメリカの国境を越えた隣接市場（シアトル）との同時代替機会を最大化するために、昼間の時間帯の若干の調整を除いて、標準的なCTVネットワークスケジュールにほぼ準拠しています。以前は、ローカルニュース枠を確保するために昼間の一部をCTV 2の姉妹局であるCIVI-DTで放送させることがありました。また、2011年11月には、他のカナダ西部のCTV所有局と同様に、『カナダAM』に代わるローカルの朝番組『CTVモーニングライブ』の放送を開始しました。その後、『カナダAM』の後継番組である『ユア・モーニング』も一部時間帯で放送しています。

ニュース運用

CIVT-DTは現在、毎週38時間のローカルニュース番組を制作・放送しており、これは平日に7時間、土曜日・日曜日それぞれに1時間半の放送時間となります。CTV系列局（直営・提携含む）の中では最も高いローカルニュース放送出力であり、バンクーバーおよびビクトリア市場のテレビ局全体でも、グローバル直営局であるCHAN-DTに次いで2番目に多いニュース時間です。

「VTV」として開局した当初は、ビクトリア、ノースバンクーバー、バーナビー、ポートコキットラム、サリー、リッチモンドにニュース支局を設けていましたが、その多くは2001年までに閉鎖されました。ビクトリア支局は現在も活動を続けています。その後、フレーザーバレーやオカナガンにも支局を追加し、2010年バンクーバー冬季オリンピック期間中にはウィスラーにも臨時の支局を設置しました。

技術面では、2009年11月23日にメトロ・バンクーバーで最初のテレビ局として、ローカルニュース番組のHD放送を開始しました。これに伴い、既存のニュースセットも一新されました。2010年3月18日には、冬季オリンピックのセットの一部を転用した新しいニュースセットを導入しました。

アンカー陣には変更もあり、2010年12月には長年18:00のニュースを担当したビル・グッドとパメラ・マーティンが降板し、翌年1月からマイク・キリーンとタマラ・タガートが後任となりましたが、彼らも2018年4月9日にメインアンカーを離任しました。

その他の特記事項として、2011年10月31日にランチタイムの1時間ニュース番組を開始し、同年11月14日には3時間半の平日朝のニュース番組『CTVモーニングライブ』の放送を開始しました。

2020年1月31日には、16年間運用されてきたニュースヘリコプター「CTVチョッパー9」が運用を終了しました。ニュース部門のリーダーシップも変更があり、2021年3月23日にはイーサン・フェイバーが新しいニュースディレクターに就任しました。

注目の現役スタッフ

ミジョン・リー: 『CTV News at Six』共同アンカー

著名な元スタッフ

サティンダー・ビンドラ
ロブ・ブラウン
スティーブ・チャオ
モニカ・デオル
ヴィッキー・ガベロー
ビル・グッド
レナ・ヒア
パメラ・マーティン
ダグマー・ミッドキャップ
ブレイク・プライス
タマラ・タガート

技術情報

CIVTのデジタル信号は、「CTV HD West」として2005年に放送を開始しました。カナダのテレビ局がアナログからデジタル放送へ移行する公式日である2011年8月31日に、UHFチャンネル32でのアナログ信号の送信を停止しました。局のデジタル信号は、移行前のUHFチャンネル33から、アナログ時代に使用されていたUHFチャンネル32へと再配置されました。

グレーター・バンクーバーエリア全体、特にバンクーバー本体での受信状態が悪かったため、2009年2月19日には最大有効放射電力を2.2 kWから12.6 kWへと増強する認可を得ました。これにより、より広範囲での受信状況の改善が図られています。

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