CLUSTERPRO

CLUSTERPRO（クラスタープロ）とは

NECが提供する汎用オープン系高可用クラスターパッケージです。Linux、Solaris、Windows NT系OSをサポートし、アプリケーションをクラスタ環境で動作させるための機能を提供します。

主な機能

アプリケーションのラッピング: 独自のシェルスクリプトにより、既存のアプリケーションをクラスタ対応に変更可能。
ディスクハートビート: 一般的なディスクハートビート方式を採用し、リソース確保によるサバイバルノードの決定を行います。
スプリットブレイン対策: 確実なスプリットブレインシンドローム抑止機能により、システム全体の安定性を確保します。
仮想環境対応: 仮想環境での無停止フェイルオーバーに対応し、柔軟なシステム構築を支援します。
クラウド対応: 各種クラウドサービスでのサポートを拡大し、クラウド環境での高可用性システム構築を可能にします。

歴史

1990年代中頃、NECはUNIXサーバ市場で自社製品とHP社からのOEM製品で競争していました。しかし、PCサーバ市場ではMicrosoft Windows NT系OS向けのクラスタパッケージが必要とされていました。当時、マイクロソフトのクラスタサーバ（MSCS）がリリースされる直前でしたが、NECは自社開発を決断しました。

1996年10月、Windows NT 3.5向けにVer1.0をリリースしました。当初はWindows向けでしたが、商用UNIX向けクラスタパッケージと比較して機能が劣っていました。

その後、NECは商用UNIXの自社開発から手を引き、HP-UXへの機能強化、Linuxへの注力、汎用機技術のUNIX/Linuxミドルウェアへの転用という方針に変更しました。2000年にはLinuxサポートを開始しました。仮想環境の拡大に伴い、2010年には仮想環境での無停止フェイルオーバーに対応しました。さらに、クラウドサービスの普及に合わせて、クラウド環境でのサポートも強化しています。

これらの動きの中で、MC-SAVERの実装技術やMC/ServiceGuardの運用経験から得られた高可用性のノウハウ（データベースやアプリケーションサーバを管理するエージェントなど）が取り込まれました。これにより、CLUSTERPROは競争力の高いパッケージとして多くの実績を積み上げています。

販売体制

当初はNECの自社ブランドサーバであるExpress5800シリーズでの動作をサポートしていましたが、現在では日立製作所、三菱電機、日本IBM、DELL、EMCなどの大手ハードウェアベンダーもOEM販売しています。特に金融業界ではLinuxクラスタパッケージの主流となっています。

日本IBMと日立は、東芝のClusterPerfect、サイオステクノロジーのLifeKeeperとのマルチOEM体制で販売しています。そのため、日本国内の高可用クラスタパッケージ市場で大きなシェアを占めています。

海外展開

海外向けには、英語版（主にアメリカ、ヨーロッパ向け）、中国語版、韓国語版があります。英語版は商標権の関係から「ExpressCluster」という名称で販売されています。中国語版と韓国語版は主にサムスンなどへのOEM製品であり、NECの社名や「CLUSTERPRO」の名称が使用されていない場合もあります。

製品名の変遷

(ver4.xまで) ActiveRecoveryManager
(ver5.0～8.0) CLUSTERPRO
(ver1.0＝旧ver9.0) CLUSTERPRO X（10周年を記念して名称を一新）
CLUSTERPRO D

マスコットキャラクター

CLUSTERPROには、「くらら」と「ぷろろ」という、特徴を表現したモモンガ親子のマスコットキャラクターがいます。ノベルティグッズなどにデザインされており、展示会などのイベントでは着ぐるみも登場します。

関連情報

密結合クラスター
コンピュータ・クラスター

外部リンク

シグマグリッド
Express5800シリーズ
クラスタープロホームページ
NEC ExpressCluster （NEC-AM（アメリカ））
マスコットキャラクター説明

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