Catch!
辻詩音のメジャーキャリアにおいて、初めてのフルアルバムとして位置づけられるのが『Catch!』である。この作品は、彼女がシンガーソングライターとして歩み始めた初期の集大成とも言える内容となっている。
2010年にリリースされた本作は、前作となる4thシングル「ほしいもの」から約7ヶ月のインターバルを経て届けられた。この年は、辻詩音にとってこのアルバムが唯一の公式リリース作品となったことでも特筆される。
アルバムには、メジャーデビュー以降に発表された4枚のシングル表題曲を含む、バラエティ豊かな全14曲が収められている。これらの楽曲には、様々なメディアや企業のタイアップが数多く付与されており、当時の彼女の活躍ぶりが窺える。
例えば、デビューシングル「Candy kicks」はTBS系音楽番組『COUNT DOWN TV|COUNT_DOWN_TV』のオープニングテーマに、2ndシングル「Sky chord 〜大人になる君へ〜」は人気アニメ『BLEACH』のエンディングテーマに、3rdシングル「M/elody」もフジテレビ系アニメ枠『ノイタミナ』の『東京マグニチュード8.0』エンディングテーマに起用された。4thシングル「ほしいもの」は映画『わたし出すわ』の主題歌となっている。これらの主要シングル曲だけでなく、アルバムに初収録された楽曲や、シングルのカップリング曲「Take me home」をアルバムバージョンとして収録したものも含まれており、聴き応えのある構成となっている。その他にも、「ハローグッバイ」がKBCテレビ『ドォーモ』エンディングテーマに、「ポップコーンナイト」が『かしいかえんシルバニアガーデン』CMソングに、「衝動ジェット」が『福岡カレッジ・オブ・ビジネス』CMソングに、「デジタルモード」がCROSS FM『RADIO KICKS!』エンディングテーマに採用されるなど、幅広い分野で彼女の楽曲が使用されていたことが、本作の収録曲リストからも見て取れる。特に「レインソング」は、後にリリースされる5thシングル「愛がほしいよ」に別アレンジで収録されるなど、収録曲がその後の活動にも繋がっている点も興味深い。ボーナストラックとして収録された「地球儀にキス」も、アルバムの聴き応えを増す一曲である。
特筆すべきは、初回生産盤に付属する特典DVDである。ここには、「Candy kicks」「Sky chord 〜大人になる君へ〜」「M/elody」「ほしいもの」といった主要シングル曲のミュージックビデオが収録されている。さらに、デビューからアルバムリリースに至るまでの活動を追ったドキュメンタリー風映像「つじでいず 〜デビューからの軌跡〜」や、アルバム全曲について本人が解説するセルフライナーノーツ映像「つじらじお スペシャル♪ 〜セルフライナーノーツ映像〜」も収められており、ファンにとっては作品への理解を深めるだけでなく、アーティスト自身のパーソナリティに触れる貴重な内容となっている。ただし、「ハローグッバイ」にはミュージックビデオが存在するものの、この付属DVDには未収録である点には留意が必要だ。
楽曲制作面では、全収録曲の作詞・作曲を辻詩音自身が手掛けている。彼女ならではの瑞々しい感性と、時に切なく、時に力強いメロディーとメッセージが、全編を通して貫かれている。そして、そのサウンドを形作るのは、アレンジャーチームmw（岡和田“Waddy”拓也、福井昌彦）による編曲である。彼らの手によって、辻詩音のメロディーと歌詞が、ロック、ポップス、エレクトロニカなど、様々な色彩を持ったサウンドへと昇華されている。
『Catch!』は、シンガーソングライター辻詩音の初期衝動と才能が詰まった、聴きごたえのある作品集と言えるだろう。数々のタイアップに彩られたキャッチーな楽曲群と、内省的ながらも普遍的なテーマを歌う楽曲がバランス良く配置されており、当時の彼女の充実ぶりがうかがえる名盤と言える。メジャーデビューからの初期ベスト盤的な側面と、アルバムとしてのまとまりを兼ね備えた本作は、辻詩音を知る上で欠かせない一枚である。
2010年にリリースされた本作は、前作となる4thシングル「ほしいもの」から約7ヶ月のインターバルを経て届けられた。この年は、辻詩音にとってこのアルバムが唯一の公式リリース作品となったことでも特筆される。
アルバムには、メジャーデビュー以降に発表された4枚のシングル表題曲を含む、バラエティ豊かな全14曲が収められている。これらの楽曲には、様々なメディアや企業のタイアップが数多く付与されており、当時の彼女の活躍ぶりが窺える。
例えば、デビューシングル「Candy kicks」はTBS系音楽番組『COUNT DOWN TV|COUNT_DOWN_TV』のオープニングテーマに、2ndシングル「Sky chord 〜大人になる君へ〜」は人気アニメ『BLEACH』のエンディングテーマに、3rdシングル「M/elody」もフジテレビ系アニメ枠『ノイタミナ』の『東京マグニチュード8.0』エンディングテーマに起用された。4thシングル「ほしいもの」は映画『わたし出すわ』の主題歌となっている。これらの主要シングル曲だけでなく、アルバムに初収録された楽曲や、シングルのカップリング曲「Take me home」をアルバムバージョンとして収録したものも含まれており、聴き応えのある構成となっている。その他にも、「ハローグッバイ」がKBCテレビ『ドォーモ』エンディングテーマに、「ポップコーンナイト」が『かしいかえんシルバニアガーデン』CMソングに、「衝動ジェット」が『福岡カレッジ・オブ・ビジネス』CMソングに、「デジタルモード」がCROSS FM『RADIO KICKS!』エンディングテーマに採用されるなど、幅広い分野で彼女の楽曲が使用されていたことが、本作の収録曲リストからも見て取れる。特に「レインソング」は、後にリリースされる5thシングル「愛がほしいよ」に別アレンジで収録されるなど、収録曲がその後の活動にも繋がっている点も興味深い。ボーナストラックとして収録された「地球儀にキス」も、アルバムの聴き応えを増す一曲である。
特筆すべきは、初回生産盤に付属する特典DVDである。ここには、「Candy kicks」「Sky chord 〜大人になる君へ〜」「M/elody」「ほしいもの」といった主要シングル曲のミュージックビデオが収録されている。さらに、デビューからアルバムリリースに至るまでの活動を追ったドキュメンタリー風映像「つじでいず 〜デビューからの軌跡〜」や、アルバム全曲について本人が解説するセルフライナーノーツ映像「つじらじお スペシャル♪ 〜セルフライナーノーツ映像〜」も収められており、ファンにとっては作品への理解を深めるだけでなく、アーティスト自身のパーソナリティに触れる貴重な内容となっている。ただし、「ハローグッバイ」にはミュージックビデオが存在するものの、この付属DVDには未収録である点には留意が必要だ。
楽曲制作面では、全収録曲の作詞・作曲を辻詩音自身が手掛けている。彼女ならではの瑞々しい感性と、時に切なく、時に力強いメロディーとメッセージが、全編を通して貫かれている。そして、そのサウンドを形作るのは、アレンジャーチームmw（岡和田“Waddy”拓也、福井昌彦）による編曲である。彼らの手によって、辻詩音のメロディーと歌詞が、ロック、ポップス、エレクトロニカなど、様々な色彩を持ったサウンドへと昇華されている。
『Catch!』は、シンガーソングライター辻詩音の初期衝動と才能が詰まった、聴きごたえのある作品集と言えるだろう。数々のタイアップに彩られたキャッチーな楽曲群と、内省的ながらも普遍的なテーマを歌う楽曲がバランス良く配置されており、当時の彼女の充実ぶりがうかがえる名盤と言える。メジャーデビューからの初期ベスト盤的な側面と、アルバムとしてのまとまりを兼ね備えた本作は、辻詩音を知る上で欠かせない一枚である。
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