CiNii

CiNii：日本の学術研究を支える統合データベース

CiNii（サイニィ）は、国立情報学研究所（NII）が運営する、日本最大の学術情報データベースの一つです。論文や書籍、博士論文といった従来の文献情報に加え、研究データやプロジェクト情報なども検索できる、統合的なプラットフォームとして機能しています。 CiNiiは、研究者や学生、図書館といった幅広いユーザーの学術研究活動を支援しています。

CiNiiの進化：多様なデータベースの統合

CiNiiの歴史は2004年に遡ります。「GeNii」という学術コンテンツ・ポータルサイト内の機能として、「CiNii論文情報ナビゲータ」の試行運用が開始されました。その後、機能拡張と名称変更を経て、現在では以下の主要なデータベースで構成されています。

CiNii Research: 論文、研究データ、プロジェクト情報を横断的に検索できる主要なデータベース。2021年4月、CiNii Articlesを統合し、現在の形となりました。機関リポジトリやJ-STAGEなど、外部サイトへのリンクも提供しており、論文本文へのアクセスも容易です。
CiNii Books: 大学図書館の蔵書情報を網羅する総合目録データベースです。Webcatの後継サービスとして2011年11月に開始されました。国立国会図書館デジタルコレクションとの連携により、多くの書籍・雑誌の本文閲覧にも対応しています。
* CiNii Dissertations: 日本の博士論文を専門に扱うデータベースです。2015年6月にサービスを開始しました。博士論文のインターネット公開義務化（2013年4月）に対応する形で設立されました。

これら3つのデータベースはそれぞれ独自のIDを付与しています。CiNii ResearchにはCiNii Research ID（CRID）、CiNii BooksにはNII書誌ID（NCID）、CiNii DissertationsにはNII論文ID（NAID）が割り当てられ、これらのIDを用いて各文献の詳細情報にアクセスすることができます。

CiNiiのデータ提供と連携

CiNiiは、多くの機関と連携してデータを提供しています。当初、CiNii ArticlesではNIIの電子図書館事業「NACSIS-ELS」から論文本文データを引き継いでいましたが、同事業の終了（2017年3月）に伴い、現在は主に外部サイトへのリンクを通じて本文へのアクセスを提供しています。多くの論文はJ-STAGEに移行しています。

また、CiNii Booksは国立国会図書館デジタルコレクションと連携しており、CiNii Booksで検索された約76万件の書籍・雑誌について、デジタルコレクションへのリンクを提供しています。これにより、利用者はCiNii Booksを通して、国立国会図書館デジタルコレクションに収蔵されているデジタル化資料にもアクセスすることが可能になります。

CiNiiの意義と今後の展望

CiNiiは、日本の学術研究における重要なインフラとして機能しており、研究活動の活性化に大きく貢献しています。今後も、継続的な機能強化とデータ拡充によって、更なる発展が期待されます。多様なデータベースの統合による検索性の向上、外部サービスとの連携強化、そして、新たなデータソースの追加などは、今後のCiNiiの課題であり、同時に、発展の可能性でもあります。 日本の学術情報のハブとして、CiNiiの役割はますます重要になっていくでしょう。

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