機関リポジトリ

機関リポジトリとは？

機関リポジトリ（Institutional Repository、IR）は、大学や研究機関がその所属研究者の知的産物を電子的に保存し、公開するためのシステムです。これにより、研究成果が広く共有され、利用されることを目的としています。

知的生産物の範囲

ここでいう知的生産物には多くの形態があります。大学の研究成果として挙げられるのは、査読を経た学術雑誌掲載論文やそのプレプリント（査読前のバージョン）、ポストプリント（査読後のバージョン）、電子的にリアルタイムで提供される学位論文、そして紀要などです。また、教員や研究者の日常的な活動から生まれる講義ノートや教材なども含まれています。

2019年8月には、国立大学図書館協会オープンアクセス委員会が機関リポジトリを「知識、情報、データをデジタル情報として公開し、障害のないアクセスを実現するための基盤」と再定義しました。この定義では、研究データやデジタル化された研究資料も収録対象として明記されています。

目的と重要性

機関リポジトリの設立には主に二つの目的があります。まず一つ目は、研究機関がその成果を自主的に保存し公開することで、オープン・アクセスの実現に寄与することです。これにより、成果がより多くの人々に利用されやすくなります。

二つ目は、出版されない研究成果や失われやすい文書（例えば学位論文や研究報告書など）を保護し、保存していくことです。これにより、重要な情報が失われることなく、次世代にも引き継がれていくことが期待されます。

機関リポジトリの発展の背景

機関リポジトリのアイディアは、二つの主な源流をもっています。一つは、電子アーカイブシステムの相互運用性に関する議論に基づいたもので、これにはオープン・アーカイブス・イニシアチブ（OAI）やその「メタデータ収集のためのOAIプロトコル」（OAI-PMH）の活動が含まれます。この動きから、研究成果を自由にアクセスできるプレプリントサーバの出現が促されました。

もう一つの源流は図書館の伝統的な機能です。機関リポジトリは、コレクションの構築、分類整理、供用、そして長期保存の取り組みを電子的に引き継ぐシステムであり、電子図書館システムとしての役割も果たしています。

まとめ

機関リポジトリは、研究機関の知的生産物を広く公開し、それを保護・保存するための重要なインフラです。これにより、研究成果がよりオープンにアクセスでき、利活用されることで、新たな価値が創出されることが期待されています。

さらに読むべき項目

関連項目としては、JAIRO（日本国内の学術機関リポジトリの横断検索サイト）、JAIRO Cloud（共用リポジトリサービス）、全国遺跡報告総覧（遺跡の発掘調査報告書を検索できるサービス）などがあります。さらに、国際的なリポジトリ関連のリソースとして、OpenDOARやROARなども参考になるでしょう。

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