Classic (ソフトウェア)

Classicは、Mac OS X環境において、旧来のMac OS 9で動作するアプリケーション（クラシックアプリケーション）を利用するためのハードウェア抽象化レイヤーです。これは、Mac OS X上で、Mac OS 9自体をインストールし、実行させることで実現されていました。具体的には、PowerPCプロセッサを搭載したMacコンピュータにおいて、Mac OS X v10.4.11までのバージョンに組み込まれていたコンポーネントです。Classic環境で動作可能なMac OS 9のバージョンは、9.1から9.2.2まででした。

Classicの利用方法

Mac OS X上でクラシックアプリケーションを利用するには、そのアプリケーションのアイコン、または関連するドキュメントのアイコンをダブルクリックします。また、Classic環境がMac OS起動時に自動的に立ち上がるよう設定することも可能でした。Classic環境は、Mac OS 9が独立したOSとして動作していたため、ウィンドウの枠やメニューバーなどの外観、およびインプットメソッドもMac OS 9のものが使用されていました。

Classic環境の特徴と制約

Classic環境はMac OS 9上で動作するため、Mac OS Xの持つプリエンプティブ・マルチタスク機能の恩恵を受けることができませんでした。これにより、特定のアプリケーションがCPUを過度に消費した場合、Classic環境全体がフリーズし、ユーザー操作を受け付けなくなるという問題が発生しました。また、メモリ保護機能もなかったため、一つのアプリケーションが強制終了した場合、Classic環境全体を再起動する必要がありました。さらに、ハードウェアに直接アクセスするような一部のソフトウェアには互換性がなく、正常に動作しない場合もありました。

Classic環境の終焉

Mac OS Xへの移行が進むにつれて、2003年1月以降に発売されたMacでは、Mac OS 9で起動することができなくなりました。しかし、当時の主要なアプリケーションがすぐにはMac OS Xに対応できなかったため、Classic環境はOS移行期において、過去のソフトウェア資産を保有するユーザーにとって不可欠な機能でした。しかし、2006年に登場したインテルプロセッサ搭載のMacでは、Classic環境はサポートされず、Mac OS 9用のアプリケーションを使用することができなくなりました。その後、Mac OS Xへの移行が完了し、2007年10月にリリースされたMac OS X v10.5 Leopardからは、Classic環境は完全に廃止されました。

Classic環境は、Mac OS Xへの移行を円滑に進める上で重要な役割を果たしましたが、技術的な制約と時代の変化により、その役割を終えることとなりました。

もう一度検索