Mac OS X v10.5

Mac OS X v10.5 Leopard について

Mac OS X v10.5 Leopard（マック オーエス テン バージョン 10.5 レパード）は、Appleが開発・販売したMac OS Xの6番目のメジャーリリースです。バージョンナンバーは10.5で、コードネームである「Leopard」という愛称で呼ばれています。Mac OS X v10.4 Tigerの後継として登場しました。

Leopardは、PowerPCアーキテクチャをサポートする最後のMac OS Xとなりました。後継のMac OS X v10.6 Snow Leopard以降はIntel Mac専用となり、PowerPCベースのMacでは動作しなくなりました。OS本体の最終セキュリティアップデートは2011年6月23日にリリースされました。その後も、Java、Safari、QuickTime、古いFlash Playerに対するセキュリティアップデートが提供されました。

リリースの経緯

Leopardの開発は2005年のWWDCで発表され、2006年のWWDCでは一部機能が紹介されました。当初は2007年初頭のリリースが予定されていましたが、春に延期され、さらにiPhoneの開発が優先されたため、最終的に2007年10月にリリースされました。2007年10月26日に世界各国で発売が開始され、最初の週末で200万本以上を販売する大ヒットとなりました。

開発段階では、デベロッパープレビュー版がWWDCやApple Developer Connection (ADC) のメンバー向けセッションで公開され、2007年のWWDCでは開発者向けに配布されました。

Leopard の主な特徴

Leopardには、300以上もの新機能が搭載され、従来のシステムからの大きな変化がありました。NetInfoディレクトリサービスがDSlocalに置き換えられ、Mac OS 9.2.2を動作させるためのClassic環境が廃止されました。

OS全体が64ビットに対応し、CocoaやJava仮想マシンを含むすべてのコンポーネントが64ビットで動作するようになりました。これにより、IntelとPowerPCの両方の64ビットプロセッサで、32ビットと64ビットのアプリケーションやドライバが同時に動作できるようになりました。ただし、カーネルは32ビットモードで動作するため、OS全体が完全に64ビットになったわけではありません。

ユーザーインターフェースも変更され、ウインドウのタイトルバーが白からグレーになり、デフォルトのアプリケーションアイコンやツールバーのデザインがよりソリッドで立体感の少ないものになりました。

対応環境とシステム要件

Leopardを動作させるためのシステム要件は以下の通りです。

IntelプロセッサまたはPowerPC G4 (867MHz以上)、PowerPC G5プロセッサ
DVDドライブ
FireWireポート
512MB以上のメモリ
9GB以上のディスクスペース

主要な新機能

Leopardには、数々の革新的な新機能が搭載されました。

Time Machine: ローカルボリュームへの自動バックアップ機能。ユーザーが削除または変更したファイルを復元できます。
Spaces: 仮想デスクトップ機能。複数のアプリケーションやウィンドウをグループ化して、デスクトップを整理できます。
Boot Camp: Mac OS XとWindowsを切り替えるデュアルブート機能。
Quick Look: Finderから直接ファイルの内容をプレビューする機能。関連アプリケーションを起動せずに、ドキュメントや動画などを確認できます。
Dockの変更: Dockは3次元表示になり、スタック機能で複数のファイルをまとめて表示できます。
Spotlight: ブーリアン演算子と括弧付き構文に対応し、ネットワーク共有フォルダの検索や計算機能が追加されました。
Dashboard: Webページをウィジェット化するWebクリップ機能が追加されました。
ユニバーサルアクセス: ブライユ点字ディスプレイに対応し、音声合成機能が向上しました。
iChat: AAC-LDコーデックに対応し、動画やプレゼンテーション、写真のストリーミング共有が可能になりました。
AppleScript: Ruby、Python、Objective-CなどでAppleScript対応アプリを制御できるようになりました。
ネットワーク機能: 広域Bonjour、Kerberos対応NFS、どこでもMy Mac機能が追加されました。

付属アプリケーションの進化

Leopardでは、付属アプリケーションも大幅に強化されました。

Finder: iTunesのようなデザインになり、Cover Flow表示やQuick Lookプレビューが追加されました。
メール: メモ機能、ToDoリスト機能が追加され、画像の貼り付けやテンプレート機能が利用できるようになりました。
iCal: CalDAVに対応し、グループウェア的な活用が可能になりました。
テキストエディット: 自動保存機能や、OpenDocumentとMicrosoft Word 2007フォーマットのサポートが追加されました。
辞書: 小学館の国語辞典、英和・和英辞典、類語辞典に加え、オンラインでウィキペディアも参照できるようになりました。

新しいテクノロジー

Leopardには、最新のテクノロジーが多数導入されました。

Cocoa: 64ビットアプリケーションの開発に対応し、並列演算機能が強化されました。
Core Service: メモリ管理やネットワークスタックなど、マルチスレッドに対応し、並列処理に最適化されました。
OpenGL: 最新のOpenGL 2.1に対応し、マルチコア環境でのパフォーマンスが大幅に向上しました。
Core Animation: 高機能なアニメーションを簡単に作成できます。
Core Text: テキスト描画とレイアウト用のAPIが刷新されました。
Input Method Kit: インプットメソッドの実装が簡単になりました。

セキュリティの強化

セキュリティ機能も大幅に強化されました。

アドレス空間レイアウトのランダム化 (ASLR): プロセスのメモリアドレスをランダム化し、セキュリティを向上させました。
アプリケーション署名: アプリケーションに開発者署名を導入しました。
アプリケーションベースのファイアウォール: アプリケーションごとにファイアウォールを設定できます。
ファイル暗号化: 256ビットAES暗号化に対応しました。

UNIX 認定

Leopardは、UNIX認定を受けたOpen Brand UNIX 03登録製品であり、Solaris 10から移植された機能が多く含まれています。

DTrace: Solarisのシステム情報取得機能を移植し、Darwinカーネルに最適化しました。

開発環境の進化

開発環境も大きく進化しました。

Objective-C 2.0: ガベージコレクションが導入され、スクリプティングブリッジがバンドルされるようになりました。
Xcode 3.1: プロジェクトスナップショットやキーワード補完、Research Assistantが追加されました。

廃止された機能

Leopardでは、いくつかの機能が廃止されました。

Classic環境: Mac OS 9.2.2を動かす環境がなくなりました。
Sherlock: Mac OS 8.5からあったローカルディスクとネットサービスのサーチエンジンが廃止されました。
NetInfo: NEXTSTEPから引き継がれたディレクトリサービスが廃止されました。
Service Location Protocol (SLP): サービス発見プロトコルが廃止されました。

バージョン履歴

Leopardは、以下のバージョンがリリースされました。

Mac OS X v10.5.0 (build 9A581), 2007年10月26日
Mac OS X v10.5.1 (build 9B18), 2007年11月14日
Mac OS X v10.5.2 (build 9C31), 2008年2月11日
Time Machine Update (build 9C7010), 2008年3月20日
Mac OS X v10.5.3 (build 9D34), 2008年5月28日
Mac OS X v10.5.4 (build 9E17), 2008年6月30日
Mac OS X v10.5.5 (build 9F33), 2008年9月15日
Mac OS X v10.5.6 (build 9G55), 2008年12月15日
Mac OS X v10.5.7 (build 9J61), 2009年5月12日
Mac OS X v10.5.8 (build 9L30), 2009年8月5日
* Mac OS X v10.5.8 (build 9L31a), 2009年8月13日

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