Coinhive事件

Coinhive事件についての概要

Coinhive事件は、暗号通貨の一種であるMoneroのマイニングスクリプトCoinhiveを無断でウェブサイトに設置した結果、サイトの訪問者に対して無許可でマイニングを実施させたとして検挙された事案です。この事件の中で、逮捕されたウェブデザイナーは、利用者の意図に反したプログラムを設置したことで起訴されましたが、最終的には無罪が言い渡されました。

事件の発端と経過

2019年までに、全国の警察は21名を検挙し、Coinhiveの設置が不正マイニングとされました。それに対して、法律やセキュリティの専門家からは、この行為が本当に法に触れるのか疑問が呈されました。この動きは、法の適用が恣意的であるとの批判を呼びました。

2018年3月には、神奈川県警によって一人のウェブデザイナーが不正指令電磁的記録に関する罪で検挙され、罰金10万円の略式命令が下されましたが、彼は正式裁判を請求し、この事件の通常の刑事裁判が開かれることとなりました。この裁判の主な焦点は、Coinhiveが法律で定義される不正指令電磁的記録に該当するかどうかという点でした。

この定義には、ユーザーの意図に反して動作すること、または社会的信頼を損なうほどの不正な性質を有することが求められます。公判は2019年1月に横浜地方裁判所で始まり、証人の中には高木浩光氏が含まれ、彼はこの事件について懸念を示しました。

判決と控訴

2019年3月、横浜地方裁判所はCoinhiveを不正指令電磁的記録として分類するには合理的な疑いが残ると判断し、無罪を言い渡しました。この判決には、事前の警告がない状態で刑事罰を課すのは過剰だという指摘もありました。その後、横浜地方検察庁はこの判決に不服を申し立て、東京高等裁判所に控訴しました。

日本ハッカー協会がこの控訴審の費用を募ったところ、多くの寄付が集まりましたが、2020年2月には高等裁判所が一転して有罪判決を下し、罰金を科しました。この裁判に対し、被告は上告し、2021年には最高裁判所で弁論が行われました。弁護側の主張と検察の立場が交わる中、最終的には2022年1月に最高裁が無罪判決を下しました。

Coinhiveの特性と影響

Coinhive自体は、サイトの訪問者にマイニングを行わせることで収益を得る仕組みを持っており、運営者はこのマイニングの7割を受け取ることができました。このモデルは、従来のインターネット広告に代わる新たな収入源として注目されました。しかし、マイニングが始まると同時に訪問者のCPUリソースが最大限に使われることから、不満も生じていました。

特に、訪問者は無断でマイニングが行われること、また悪質なマルウェアに利用される可能性が指摘され、多くのアンチウィルスソフトがCoinhiveをブロックしました。最終的には、暗号通貨の価格暴落に伴い、2019年にサービスが終了することとなりました。これらの議論は、今後の暗号通貨の運用やウェブサイトの収益化手法に一石を投じるものであり、社会的にも大きな関心が寄せられています。

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