ColdFusion

ColdFusion: 動的ウェブサイト構築を支える強力なフレームワーク

ColdFusionは、動的なウェブサイトやアプリケーション開発に特化したアプリケーションフレームワークであり、同時にアプリケーションサーバとしての役割も担います。特にデータ駆動型のウェブサイトや企業内システム構築でその力を発揮します。ASP.NETやJakarta EE（旧・Java EE）といった他のWeb開発フレームワークと同等に位置づけられます。

ColdFusionの核となる要素: CFMLとCFScript

ColdFusionの最も重要な特徴は、そのマークアップ言語であるColdFusion Markup Language（CFML）です。CFMLはHTMLに似た文法を持ち、スクリプト言語であるCFScriptと組み合わせて使用します。JSPやC#、PHPなどと比較されることが多いですが、CFMLはColdFusionに限らず、他のアプリケーションサーバでも採用されています。ColdFusionは、サーバサイドActionScriptなどCFScript以外のプログラミング言語もサポートしており、その柔軟性が魅力です。

歴史

元々はAllaire社によって開発されましたが、2001年にマクロメディア社に買収され、さらに2005年にはマクロメディア社がアドビシステムズ社（現・アドビ）に買収されました。現在では、アドビがColdFusionの開発と販売を行っています。

ColdFusionの活用シーン

ColdFusionは、データ駆動型のWebサイトや[イントラネット]]構築によく利用されます。また、Jakarta EEの上位層として活用したり、サービス指向アーキテクチャ]の[[ミドルウェアとしても利用されています。さらに、SOAPやRESTfulなWebサービスの生成、Flashリモーティングなど、多岐にわたる用途に対応できます。

ColdFusionが提供する豊富な機能

ColdFusionは、以下のような多種多様な機能を提供しており、開発者の生産性向上に貢献します。

高品位なPDF出力: HTMLから高品位なPDFを生成可能。Adobe ColdFusion 2023ではさらに強化。
GUIウィジェット: datagridやdate pickerなどのGUIウィジェットを標準で提供。
JDBCによるデータベースアクセス: プラットフォームに依存しないデータベースクエリが可能。
エンタープライズシステム連携: Active Directory、LDAP、POP、HTTP、FTPといったシステムからのデータ収集と検索。
キャッシュ管理: クライアントとサーバの両方でキャッシュを管理。
セッション管理: セッション、クライアント、アプリケーションの管理機能。
全文検索: Apache Solrによるファイルインデックスと検索サービス。
XML処理: XMLの構文解析、クエリ、検証機能。
Adobe Acrobatフォームとの統合
画像ファイル操作
.NET Frameworkとの連携
パフォーマンスモニタリング: ColdFusionサーバの性能管理ツールを提供。
Ajaxウィジェット: ビルトインAjaxウィジェット。
フィード連携: Atom、RSSフィード、、XMLとの連携。
ORM: [オブジェクト関係マッピング]を用いたデータベース処理。
Excelファイル操作: Excelファイルの読み込みと書き出し。
メモリ内仮想ファイルシステム
HTML5 Webソケット: HTML5 Webソケットのサポート（Standard版は制限あり）。
HTML5チャート
RESTful Webサービス: RESTful WebサービスのサポートとAxis 2との統合。
Hotfixインストーラーと通知
クラウド連携: クラウドストレージ、NoSQL、メッセージサービスとの連携（Adobe ColdFusion 2023で拡充）。

リリース履歴

ColdFusionは、1995年の最初のリリースから現在に至るまで、数多くのバージョンアップを重ねています。以下に主なリリース履歴を示します。

1995年: Allaire Cold Fusion 1.0
1996年: Allaire Cold Fusion 1.5, 2.0
1997年: Allaire Cold Fusion 3.0
1998年: Allaire Cold Fusion 3.1
1999年: Allaire ColdFusion Server 4.0J
2000年: Allaire ColdFusion Server 4.5J
2001年: Macromedia ColdFusion Server 5 日本語版
2002年: Macromedia ColdFusion MX 日本語版
2003年: Macromedia ColdFusion MX 6.1 日本語版
2005年: Macromedia ColdFusion MX 7 日本語版
2007年: Adobe ColdFusion 8 日本語版
2009年: Adobe ColdFusion 9 日本語版
2012年: Adobe ColdFusion 10 日本語版
2014年: Adobe ColdFusion 11 日本語版
2016年: Adobe ColdFusion 2016 日本語版
2018年: Adobe ColdFusion 2018 リリース 日本語版
2020年: Adobe ColdFusion 2021 リリース 日本語版
2023年: Adobe ColdFusion 2023 リリース 日本語版

各バージョンの特徴

ColdFusion 1.0

1995年にリリースされた最初のバージョン。JJ Allaire氏によってほぼ一人で開発され、データベースアクセス以上の機能はほとんどありませんでした。

ColdFusion 3.1

Solarisへの移植と、ColdFusion Studioという専用開発エディタが追加され、デバッグ機能も実装されました。

ColdFusion 4

日本語版がリリースされたバージョン。製品名がCold FusionからColdFusionに変更され、エンタープライズ版が追加されました。

ColdFusion 4.5

Javaオブジェクトの呼び出しやOSコマンドの実行、Java EEサーバーとの連携機能が実装されました。Linux版も登場。

ColdFusion 5

マクロメディアから初のリリース。ユーザー定義関数やクエリ結果に対するクエリ、グラフ機能などが追加され、パフォーマンスも向上しました。

ColdFusion MX (6)

Javaで完全に書き直されたバージョン。プラットフォーム移植性が向上し、Macromedia Flashとの連携も強化。CFMLがオブジェクト指向をサポートし、CFScriptというスクリプト言語も追加されました。

ColdFusion MX 7

Macromedia Flexとの連携を強化し、Flashベースのフォーム出力が可能に。Webフォーム機能も充実し、レポートツールも提供されました。XMLサポートも強化。

Adobe ColdFusion 8

Adobe Acrobatフォームとの統合、画像操作、.NET連携などの新機能が追加。Ajaxウィジェットや暗号化ライブラリ、データベースドライバの改善も行われ、大幅なパフォーマンス向上を実現。

Adobe ColdFusion 9

CFScriptベースで記述可能なColdFusionコンポーネント(CFC)が導入され、[オブジェクト関係マッピング]がサポートされました。Microsoft製品との統合も強化。

Adobe ColdFusion 10

HTML5 Webソケット、動的なHTML5チャート、RESTful Webサービスなどをサポート。Tomcatの採用によりパフォーマンスが向上しました。

Adobe ColdFusion 11

新しいPDF生成エンジンによる高品質なPDF変換、モバイルアプリ生成ソリューションが提供されました。

Adobe ColdFusion 2016 (12.0)

CLIからの実行、PDF機能の強化、モバイルアプリソリューションが提供されました。

Adobe ColdFusion 2018 (13.0)

言語の強化、非同期プログラミング、CLIのREPL、自動ロックダウンインストーラー、分散キャッシュのサポートなどが追加されました。

Adobe ColdFusion 2021 (14.0)

軽量インストーラ、ColdFusion パッケージマネージャ、クラウドストレージ、メッセージングサービス、NoSQLデータベースなどをサポート。

Adobe ColdFusion 2023 (15.0)

クラウドサービスの拡充、中央管理型サーバー(CCS)、新しいHTML→PDF変換エンジン、GraphQL Clientなどをサポート。

Adobe ColdFusion Builder

ColdFusionアプリケーション開発のための統合開発環境（IDE）として、Adobe ColdFusion Builderがあります。Eclipseベースで拡張性が高く、コードアシスト、デバッグ機能など、開発を効率化するための様々な機能を提供します。また、Visual Studio Codeの拡張機能も提供されており、無償で利用可能です。

代替サーバ環境

ColdFusionは独自技術に基づいているものの、CFMLをサポートする他の製品も存在します。Lucee、Railo、OPENBD、BlueDragonなどが代表的です。ColdFusionは、Jakarta EEや.NETよりもプラットフォーム依存性が低いとされており、CFMLは.NETやJakarta EEサーバ上で動作可能です。

まとめ

ColdFusionは、長年にわたり進化を続けてきた強力なWebアプリケーションフレームワークです。豊富な機能と柔軟な拡張性を備え、企業のWebシステム開発を強力にサポートします。最新バージョンでは、クラウド連携や最新技術への対応が強化され、ますます多様なニーズに応えることができるようになっています。

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