アプリケーションフレームワーク

アプリケーションフレームワークとは

アプリケーションフレームワークとは、プログラミングにおいて、アプリケーションソフトウェアの標準的な構造を実装するための枠組みやテンプレートのことです。これは、ライブラリ（サブルーチンやクラスなど）の集合体であり、ソフトウェアフレームワークの一種として知られています。特定のプラットフォーム専用のものもあれば、複数のプラットフォームをサポートするものもあります。

概要

アプリケーションフレームワークは、多くの再利用可能なコードをまとめることで、開発者の負担を軽減し、アプリケーション開発における定型的なコードを毎回記述する手間を省きます。特に、グラフィカルユーザインタフェース（GUI）の普及に伴い、その重要性が増しています。GUIはオペレーティングシステムの仕様に密接に関係しており、アプリケーションの基本的な構造や外観を標準化する傾向があるからです。

GUIアプリケーションは、CUIアプリケーションに比べて実装が複雑になりがちですが、ほとんどのアプリケーションは同じようなGUI部品を必要とし、同じようなイベントループ構造を持っています。そのため、アプリケーションフレームワークはGUI部品の描画やイベント処理などの共通化を促進し、開発効率を向上させます。さらに、フレームワークには自動GUI作成ツールが用意されていることが多く、サードパーティによるツール開発も容易です。

実装

フレームワークの実装には、オブジェクト指向プログラミング技法やオブジェクト指向プログラミング言語が一般的に用いられます。フレームワーク内の既存のクラスを継承して、アプリケーション独自の部品を定義することができます。また、コールバック関数や仮想関数による多態性を利用して、差分プログラミングを行うことができます。

事例

商用フレームワークの初期の例としては、Apple Computerが開発したMacAppがあります。これは、Macintosh向けのフレームワークで、当初はObject Pascalで書かれていましたが、後にC++で書き直されました。その他にも、Metrowerks PowerPlantやMacZoopなどがあります。macOS向けのフレームワークとしては、NeXTSTEP由来のCocoaが有名です。

自由ソフトウェアとしては、Mozilla、OpenOffice.org、GNOME、KDEなどのプロジェクトにアプリケーションフレームワークが含まれています。

マイクロソフトは、Windows向けのMicrosoft Foundation Class（MFC）を開発しています。MFCはWindows APIをラップしたC++言語専用のフレームワークです。さらに、Active Template Library（ATL）やWindows Template Library（WTL）といったC++テンプレートを活用したフレームワークも開発しています。また、.NET Frameworkには、Windows Forms（WinForms）やWindows Presentation Foundation（WPF）などのGUIフレームワークが含まれており、Windows 8以降のModern UIアプリケーション開発基盤となるWindows Runtime（WinRT）に対応したWindows UI Library（WinUI）も存在します。

wxWidgetsやFOX toolkitのように、複数のプラットフォームで動作するアプリケーションを開発できるクロスプラットフォームなフレームワークも多数存在します。Javaの標準的なGUIツールキットとしてはSwingが、Monoに対応したクロスプラットフォームフレームワークとしてはGtk#やXamarin.Formsが挙げられます。さらに、ウェブアプリケーション構築のためのアプリケーションフレームワークも数多く存在します（ASP.NET、Apache Struts、Ruby on Railsなど）。

アプリケーションフレームワークは、ソフトウェア開発の効率化に不可欠な要素であり、多様な環境やニーズに対応した様々なフレームワークが存在しています。これらのフレームワークを活用することで、開発者はより高品質なアプリケーションを効率的に開発することができます。

関連項目

ソフトウェアフレームワーク
ウィジェット・ツールキット
* Webアプリケーションフレームワーク

もう一度検索