COX

COX（コックス）とは

COX（コックス）は、アメリカ合衆国の模型・玩具ブランドであり、特に小型模型エンジンの分野で高い知名度と歴史を誇ります。1954年にコックス（Cox）社としてカリフォルニア州で創業し、その後、幾度かの企業買収を経て、現在はエステス インダストリーズの傘下ブランドとしてその名を残しています。

歴史

1945年、機械工のロイ・コックスによって、「L.M.コックス製造社（The L. M. Cox Manufacturing Co, Inc.）」がカリフォルニア州プラセンティアで設立されました。幼少期から機械や部品に興味を持っていたコックスは、当初、車庫で木製のコルク銃玩具を製造していました。これは、当時金属が不足していた戦時中の事情によるものでした。

第二次世界大戦後、1947年に金属不足が解消されると、コックスはダイキャスト製の自動車玩具の製造を開始しました。この製品は「ウィップカー」と呼ばれ、紐で繋がれた円周上を走行するものでした。ニトロとガソリンを燃料とするこのテザーカーは、9.83cm³のエンジンを搭載し、時速160kmもの速度を出すことができ、瞬く間に人気を博しました。

戦後、コックスはUコン機（操縦桿で操作する模型飛行機）向けの小型内燃機関の生産で成長を遂げ、1963年にはカリフォルニア州サンタアナに広大な工場を建設しました。その後、数回の拡張を経て、工場はスロットカー、モデルロケット、HOゲージ鉄道模型、さらにはチェーンソー用のガソリンエンジンまで生産するようになりました。特に、高性能の超小型グローエンジンであるTeeDee 01、02、PeeWee 02は同社の代名詞とも言える製品で、049や051と共にフリーフライト機、C/L機（Uコン機）、ラジコン機に広く搭載されました。

ロイ・コックスは1969年に引退し、会社はレジャー・ダイナミクス社に売却されました。この際、凧、携帯無線機、ヨーヨーなどが新たな製造品目に加わりました。1976年には、成長を続けるラジコン市場に参入しましたが、1983年にレジャー・ダイナミクス社が経営難に陥ります。

その後、049エンジンの設計者であるウィリアム・セルツァーが、地元の実業家と協力してコックスを買い戻し、経営を立て直しました。この際、新親会社であるエアロミル・エンジニアリング社によって、社名はコックス・ホビーズ社へと変更されました。

1996年には、モデルロケットメーカーであるエステス インダストリーズの傘下に入り、業務はコロラド州ペンローズに移管されました。この際、社名はコックス・モデルズに変更されました。2009年、エステスはコックス・モデルズの旧製品在庫をアメリカ・カナダの個人および企業に売却しました。そのうちの一社が「Cox International」というウェブサイトを立ち上げ、在庫のオンライン販売を行っています。

さらに、2010年にはエステスがホビコに買収され、コックスはホビコの傘下ブランドとして現在に至ります。ホビコは、過去のコックスモデルズの製品ラインナップと「COX」ブランドの正式な継承者となっています。一方、「Cox International」も、過去のラジコン機エンジンなどの復刻販売やパーツ販売を行っています。

まとめ

COXは、その長い歴史の中で、玩具メーカーから模型エンジンメーカーへと変遷を遂げ、数々の変遷を経て現在に至ります。小型エンジンに対する情熱、技術的な革新、そして製品に対する熱意は、今日でも多くのファンに支持されています。模型愛好家にとって、COXは特別な存在であり、その歴史は模型業界の発展と切っても切り離せないものと言えるでしょう。

外部リンク

コックス・モデルズ公式ウェブサイト（英語）
The Virtual Cox Museum（英語）
* Cox HO-Scale Trains Resource（英語）

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