HOゲージ

HOゲージ：鉄道模型の世界を広げるスタンダードゲージ

HOゲージは、鉄道模型の代表的な規格のひとつです。軌間16.5mmを基準に、車輪、車両サイズなどが規定されています。日本やアメリカでは「HO」、ヨーロッパでは「H0」と表記されることが多く、ハーフOゲージを意味する名称です。

HOゲージの規格と歴史

HOゲージは、当初3.5mmスケール（1フィートを3.5mmに縮尺）から出発しました。これは約1/87に相当し、軌間16.5mmもここから導き出されました。しかし、現在の規格では寸法が直接数値で設定されており、1/87からのずれは許容範囲内とされています。そのため、HO規格に準拠した車両は、HO規格の線路を問題なく走行できますが、必ずしも1/87の縮尺である必要はありません。

歴史的には、1/76や1/80、1/90といったスケールの車両もHOゲージとして扱われた時期がありました。1/76はOOゲージとして分離されましたが、近年では16.5mm軌間の模型をHOゲージとして扱う傾向が強まっています。

狭軌と広軌への対応

実物の鉄道には、標準軌（1435mm）以外にも、狭軌や広軌があります。HOゲージでも、これらの軌間を再現する際に、縮尺を維持するか、軌間に合わせて縮尺を変えるかといった選択肢がありました。しかし、前者ではプロポーションが変化し、後者では部品の互換性が損なわれる問題がありました。

そのため、正確な軌間で模型化したり、他の規格の軌間を流用する手法が考案されました。アメリカではNMRA規格に基づき、HOn3（軌間10.5mm）、HOn2（軌間7mm）などの規格があります。ヨーロッパではNEM規格に基づき、TT、N、Zゲージの線路を使用するHOm、HOe、HOiといった規格があります。

日本では、国鉄車両を13mmゲージ（1/80、軌間13mm）に改軌する愛好家もおり、現在でも一部メーカーから製品が発売されています。また、1/87にこだわり、軌間12mmの12mmゲージも存在します。

HOゲージの歴史と発展

1921年、イギリスのバセット・ロークから縮尺1/87、軌間15.9mm（後に16.5mm）の鉄道模型が発売されました。当初はOOゲージと呼ばれていましたが、アメリカで「HO」と名付けられ、普及していきました。1937年にはOOゲージとHOゲージの呼称が明確に区別されるようになりました。

日本では戦後、1/80の日本型車両が主流となり、16番ゲージという呼び名も定着しました。新幹線開業を機に、新幹線車両は1/87で製品化されるようになりました。その後、13mmゲージや12mmゲージ、1/87の標準軌車両も登場しています。HOゲージの普及に伴い、ナローゲージ（軽便[[鉄道]]）の模型も盛んに製作されるようになり、「HOナロー」として定着しました。

駆動・制御方式

初期はゼンマイ駆動や手押しでしたが、後に電気モーターが使用されるようになり、交流直巻モーターと三線式線路が主流でした。その後、直流モーターと直流三線式、そして現在の主流である直流二線式が登場しました。デジタルコマンドコントロールの登場により、二線式でも多重制御が容易になりました。

HOゲージの製品

HOゲージは、車両、線路、電源装置、ストラクチャー、アクセサリー、シーナリー用品など、幅広い製品が揃っています。海外では大手メーカーが様々な製品を製造している一方、日本は専門メーカーが中心です。海外メーカーの製品は日本でも入手可能です。日本型車両については鉄道模型専門店での販売が中心です。

車両

プラスチック製、真鍮製、亜鉛合金製など様々な素材と製法が用いられています。完成品だけでなく、キット製品も豊富です。

線路

道床付き線路と道床なし線路があり、組み立て式とフレキシブル線路があります。

電源装置

パワーパック、パワーユニット、トランスと呼ばれ、入門者向けから上級者向けまで様々な製品があります。

ストラクチャー、アクセサリー、シーナリー用品

建物の模型、自動車、人形、電柱などのアクセサリー、木や草などのシーナリー用品など、ジオラマ製作に必要な様々な製品があります。

ショーティー

欧州では、省スペース走行を可能にするショーティー（短縮車両）も存在します。日本では、一部を除き、縮尺通りの車両が主流です。

主要メーカー

日本国内では、エンドウ、カツミ、関水金属（KATO）、天賞堂、トミーテック（TOMIX）などが、海外では、ロコ、フライシュマン、メルクリン、ピコ、トリックス、ジョエフ、アクメ、リマ、リバロッシ、ハグ、アサーン、アトラス、バックマン、ライフライク、ウォルサーズなどが主要メーカーです。

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