Cynthia Best 〜 Eternity

Cynthia Best 〜 Eternity

『Cynthia Best 〜 Eternity』は、シンシア、すなわち南沙織のキャリアにおける重要なベストアルバムとして、1996年6月21日にSony Recordsより、規格品番SRCL-3519として発売されました。

このアルバムは、南沙織がシングル「17才」で鮮烈な歌手デビューを果たしてから満25周年を迎えたアニバーサリーイヤーを記念して企画されました。その大きな特色は、彼女の活動期を代表する二つの名義、すなわち1970年代に「南沙織」として発表されたヒット曲群と、1992年から1996年にかけて「シンシア」名義でリリースされた楽曲群から精選されたベストセレクションであるという点にあります。これまでに南沙織時代の作品とシンシア時代の作品が一同に会して1枚のアルバムに収められることはなく、本作が両時代の既発表楽曲をまとめて聴ける初の試みとなりました。30周年や35周年にはより網羅的なCD-BOXセットが発売されていますが、手軽に二つの時代を辿れるという点で、本作はまた異なる意義を持つ一枚と言えます。

収録曲には、当時の最新シングル曲であった「愛は一度だけですか」が初めてアルバムに収録されたほか、小岩井乳業のコマーシャルソングとして使用されながら、これまでどのCDにも収録されることのなかった楽曲「ふたり」が初めて陽の目を見ました。「ふたり」は本作のために特別に収録されたものであり、他のアルバムやシングルには含まれていない、このベストアルバムならではの貴重なトラックとなっています。全16曲が収録されており、彼女の代表的なヒット曲の数々を楽しむことができます。

アルバムのブックレットには、歌詞や活動当時の貴重な写真が豊富に掲載されています。さらに、南沙織のキャリアにおいて最も多くの楽曲（全シングルA面28曲中16曲）を手がけた主要作詞家、有馬三恵子氏による25周年記念の寄稿文「異国の少女」が特別に掲載されています。この寄稿文の中で有馬氏は、デビュー当時の南沙織について、「人生の短い少女期の風情を、きっちりと個性にしていたヒト」と表現し、その個性を高く評価しています。なお、有馬氏とシンシアは1970年代のレコーディング当時、スタジオでの簡単な挨拶程度しか顔を合わせる機会がなかったと、後に語られています。

また、ブックレットの巻末には「南沙織（シンシア）ヒストリー」と題された年表が収められていますが、残念ながら記載には複数の誤りが見受けられます。具体的な例としては、1974年7月に発売された通算9枚目のオリジナル・アルバムのタイトルが、本来の『夏の感情』ではなく、『夏の序曲』と誤記されています。CDトレイの下には、過去に行われたさよならコンサートでの写真が使用されており、ファンにとっては感慨深いデザインとなっています。

『Cynthia Best 〜 Eternity』は、南沙織そしてシンシアとしての活動の軌跡を、時代を超えて一枚に集約した初めてのベストアルバムであり、特に未CD化音源の初収録といった点においても、アニバーサリーを飾るにふさわしい記念碑的な作品と言えるでしょう。

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