D級駆逐艦 (2代)

D級駆逐艦：イギリス海軍の対潜能力強化型駆逐艦

D級駆逐艦は、イギリス海軍が1930-31年度計画で建造した駆逐艦の艦級です。この艦級は、先行するC級駆逐艦をベースに、対潜戦能力の向上を主な目的として設計されました。9隻が建造され、「ディフェンダー」をネームシップとしてディフェンダー級と呼ばれることもあります。

開発経緯

イギリス海軍は、第一次世界大戦後の1924-25年度から駆逐艦の建造を再開しました。まず、改W級駆逐艦を基に、戦訓と新技術を取り入れたプロトタイプとして「アマゾン」と「アンバスケイド」を建造しました。その後、1927-28年度には量産型であるA級、1928-29年度には小改正型のB級が建造されました。

1929-30年度計画では、B級を若干大型化し、燃料搭載量を増やしたC級が建造されました。そして、1930-31年度計画で、C級を基に装備を改正した艦が建造されることになり、これがD級駆逐艦です。

設計

設計は基本的にC級と同一であり、ジェーン海軍年鑑やアメリカ海軍協会（USNI）では、C級とD級を一括りにして扱われることがあります。主な違いは装備面にあり、D級では2速駆逐艦掃海具（TSDS）を廃止し、爆雷搭載数を増加させました。また、ASDIC（アクティブ・ソナー）を搭載し、対潜戦能力の強化を図りました。

艦砲は、A級からC級と同様に45口径12cm砲（QF 4.7インチ砲Mk.IX）4門を、標準的な平射砲であるMk.XIV砲架と組み合わせて搭載しました。対空兵器は、当初45口径7.6cm高角砲（QF 3インチ砲Mk.I）と62口径12.7mm4連装機銃を搭載する予定でしたが、12.7mm機銃の開発遅延のため、初期建造艦5隻はC級と同様に39口径40mm単装機銃（QF 2ポンド・ポンポン砲Mk.II）を搭載しました。

水雷兵器は、A級からC級と同じく21インチ魚雷発射管を4連装2基搭載しましたが、搭載魚雷は炸薬量を増したMk.IXに更新されました。

第二次世界大戦が勃発すると、生き残ったD級駆逐艦は護衛駆逐艦として改装されました。この改装で、70口径20mm機銃6門を搭載して防空火力を強化し、45口径12cm砲のうち1門を撤去し、代わりにヘッジホッグ対潜迫撃砲を搭載しました。また、爆雷搭載数は125発に増加されました。

同型艦

D級駆逐艦は、嚮導艦1隻を含む9隻が建造されました。戦時中には2隻がカナダ海軍に譲渡されました。

第二次世界大戦では、9隻中5隻が戦没したほか、2隻が友軍の商船や戦艦との衝突事故により沈没しました。

D級駆逐艦は、対潜能力の強化を目指した設計と、戦時中の護衛駆逐艦としての改装を通じて、大戦中のイギリス海軍の作戦遂行に大きく貢献しました。

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