DAB

DAB（デジタルラジオ放送）とは

DAB（Digital Audio Broadcasting）は、デジタル方式を用いたラジオ放送の規格です。主にヨーロッパ諸国、オーストラリア、韓国などで採用されています。この規格は、従来のFM放送に比べて、音質の向上やデータ放送などの多機能化を実現しています。

開発の経緯

DABは、EUREKA（欧州先端技術共同研究計画）によって開発が進められました。1987年から2000年までの期間に開発が行われ、主要な技術は1980年代に確立されました。この規格は、現在では2.85億人以上が受信可能な地域で利用されており、イギリスで最初に本格的な放送が開始されました。DABフォーラムには30ヶ国が参加しており、国際的な広がりを見せています。

DABの特徴

DABは従来のラジオ放送とは異なり、以下のような特徴を持っています。

自動周波数切り替え: 移動中に放送エリアが変わっても、手動で周波数を変更する必要がなく、自動で最適な周波数に切り替わります。
データ放送: 曲名や交通情報などのテキスト情報を表示できます。
多機能性: マルチチャンネル、HTMLデータ、電子番組表など、多様なサービスを提供できます。
音質向上: デジタル技術により、よりクリアで高品質な音声を提供します。

各国の導入状況

ノルウェーでは、国内の地形特性とコストを考慮し、全国放送を行う放送局が2017年末までにFM放送からDABへ移行しました。ただし、地方局はFM放送を継続しています。

韓国では、DAB方式を利用して、ラジオ放送だけでなく、MPEG-4で圧縮された移動体向けテレビ放送（DMB）も提供しています。

技術仕様

変調方式: OFDM（直交周波数分割多重方式）
圧縮方式: MPEG Audio Layer 2
ビットレート: イギリスでは、音楽は128Kbpsステレオ、音声は80Kbpsモノラルが基本です。

DAB+

2006年には、圧縮方式にHE-AACを採用したDAB+が策定されました。これにより、さらに効率的な音声圧縮が可能になりました。

サブセット

DAB-IP: IPデータ放送に対応する規格ですが、現在は使用されていません。

周波数とモード

DABにはモードIからIVまでの異なる周波数帯があり、各国で使用するモードが異なります。世界中でDAB放送を受信するためには、全てのモードに対応した機器が必要です。

Mode I: 174–240 MHz（Band III）、地上波
Mode II: 1452–1492 MHz（L-Band）、地上波、衛星
Mode III: 3GHz以下の周波数、地上波、衛星
Mode IV: 1452–1492 MHz（L-Band）、地上波、衛星

サービス終了した国

DAB放送は、一部の国でサービスを終了しています。

フィンランド：2005年
ポルトガル：2011年4月
香港：2017年9月
ハンガリー：2020年9月
アイルランド：2021年3月

まとめ

DABは、デジタルラジオ放送の先進的な規格として、ヨーロッパを中心に普及が進んでいます。従来のFM放送に比べて、多機能で高音質なラジオ体験を提供します。各国の状況や技術的な詳細について理解を深めることで、DABの可能性をより深く理解できるでしょう。

関連項目

DAB+
デジタルラジオ
音響信号処理
デジタルビデオブロードキャスティング
地上デジタル音声放送

外部リンク

DAB Ensembles Worldwide
Project page at EUREKA
World DAB Forum
Standards
Woodstock DAB 54
Logie Processor for DAB and DVB
Mediacast Trade Fair
DAB and Mobile Java Services
* DAB Mobile Service Potentialities (Workshop Zurich 2002)

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