DATASAT

DATASAT（データサット）とは

DATASATは、アメリカの企業Datasat Digital Entertainmentが提供する、映画用音声のデジタル圧縮記録・再生方式、およびその会社名の略称です。元々は「DTSデジタルサウンド」という名称で知られていましたが、会社の買収と組織再編を経て、現在の名称に変更されました。このシステムは、映画館での高品質な音響体験を実現するために重要な役割を果たしています。

沿革

DATASATの歴史は、DTS社が映画関連事業を行っていた時代に遡ります。2006年まではDTS社の一部門として活動していましたが、2007年にコンシューマ事業と分社化され、DTS Digital Cinema社となりました。その後、2008年5月には、欧州の衛星通信会社Datasat Communicationsがオーナーを務めるBeaufort International Groupの傘下であるBeaufort California社に買収され、吸収合併されました。そして、2009年3月に現在の社名であるDatasat Digital Entertainment（DATASAT）へと変更されました。

映画用の「DTSデジタルサウンド」は、DATASAT社に引き継がれましたが、名称はDTS社の商標であったため継続使用できず、「DATASATデジタルサウンド」と改称されました。ロゴも、2011年公開の映画から順次DTSロゴからDATASATロゴへと切り替えられました。ただし、日本映画においては、従来のDTSロゴが引き続き使用されており、名称変更やDATASATロゴへの切り替えは行われていないようです。

DATASATデジタルサウンドの技術

DATASATデジタルサウンド（別名：DTSデジタルサウンド）は、映画用のデジタル録音形式です。このシステムは、センター、レフト、ライト、レフトリア、ライトリア、サブウーファーの5.1chサラウンド音声をデータ圧縮し、CD-ROMに記録します。フィルムには、アナログサウンドトラックの横に、タイムコードと呼ばれる同期用の信号が記録されます。映写機に取り付けられたタイムコードリーダーが、フィルムに記録されたタイムコードを読み取り、CD-ROMの同期走行を行い、5.1chの音声が再生される仕組みです。

DATASATのタイムコードは、DATASAT独自の24bitでコード化されており、フィルム上のアナログサウンドトラックと、フィルムの映像部分との間に記録されます。音声は、CD-ROMに記録される際にサブウーファーの音声がレフトリアとライトリアの低域部分にフィルタリングして組み込まれ、実際には5chで記録されます。再生時には、再度フィルタリングを行い、レフトリアとライトリアの低域部分のみを取り出し、サブウーファーとして出力します。

スペック

DATASATデジタルサウンドのスペックは以下の通りです。

サンプリング周波数：44.1kHz
ビット深度：16bit
データ圧縮：APT社の「X100」コーデックを使用

上記のスペックから、リニアPCM時のデータレートは3528kbit/sであり、これを1/4に圧縮して882kbit/sでCD-ROMに記録します。等速のCD-ROMドライブでも倍近い転送レートを確保できるため、データには余裕があります。1枚のCD-ROMには約100分程度の音声が記録可能で、100分を超える作品は2枚ディスク、最大で3枚ディスク（300分）まで対応できます。また、16mmフィルムから70mmフィルムまで対応し、収録時間は減少しますが、CD-ROM上に8chの音声を記録することも可能です。

関連規格

デジタル音響システム
DTS (サウンドシステム)

外部リンク

Datasat Digital | A History Of Audio Excellence （英語）

もう一度検索