DBSクルーズフェリー

DBSクルーズフェリーの概要

DBSクルーズフェリーはかつて存在した韓国の海運会社であり、海を越えて日本とロシア、そして韓国を結ぶ重要な役割を果たしていました。2009年からの運航を開始し、韓国の東海港を基点に日本の境港、舞鶴港、さらにはロシアのウラジオストク港間のフェリーサービスを提供していました。特に、週一回の往復便を定期的に運航し、最盛期には年間で3万3000人を超える利用者を抱えていました。

航路の構想と運航の実態

同社は2011年から関西地域の玄関口として位置づけられた舞鶴港にも貨物専用の往復便を運航し、境港に比べて約3倍の貨物を取り扱っていたことから、舞鶴港は重要な物流拠点となっていました。

また、敦賀港への航路延長構想もあり、試験的な運航が行われましたが、定期便の運航は定まらず、2019年まで運航されることはありませんでした。冬季にはドックダイヤが設けられ運休となる一方、ウラジオストク港においては自由ビザ制度があるため、利用者にとって比較的利用しやすい状況が提供されていました。

政治的影響と運航の休止

日韓関係の悪化や新型コロナウイルスの影響を受け、旅行者数は激減し、2019年11月から2020年2月までの運航停止を余儀なくされました。特にCOVID-19の流行は、旅客需要をさらに減少させ、ついには2020年4月に航路免許を返納して廃業する結果となりました。

その後の動き

2020年9月には、韓国のドゥウォン商船がDBSクルーズフェリーで使用されていた貨客船「イースタン・ドリーム」を取得し、運航を再開する計画を発表しましたが、COVID-19の影響から旅客の受け入れは行われず、2021年2月には運航が廃止されることとなりました。2021年5月には韓国側の寄港地を変更し、運航が再開されましたが、一般旅客輸送は未だに再開されていない状況でした。

ロシアとの関係性

2022年にはロシアのウクライナ侵攻の経済制裁が背景にありましたが、それでも本航路は運航を維持していました。しかし、再びCOVID-19の影響で運航が停止され、2022年5月には東海港－ウラジオストク港間の運行は再開されましたが、舞鶴寄港はできず、その後も運休が続いていました。

新たな運航計画

2024年には、鳥取県が韓国当局に対し境港への寄港を目指す運航免許の申請といった動きがあり、新たな航路の復活が期待されました。また、同年12月には新たな船が導入され、境港を基点とする運航の免許申請が行われました。

船舶情報

運航に使用されていた「イースタン・ドリーム」は、全長140mで定員は500名、貨物搭載能力は130TEUという規模です。過去の航路は、境港からウラジオストクへのルートに乗り入れており、東海港での船中泊が必要でした。また、ロシア側に入港する際は戦争割増料金が適用されることもあり、乗客にとっての運航条件は厳しいものでした。

その他の航路

さらに、2023年には別の旅行会社が新たに航路を設ける企画も出ましたが、短期間で撤退しています。このように、DBSクルーズフェリーの運航史は単なる海運の枠を超えて、国際的な政治や経済の影響を大きく受けたものでした。

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