DF-17 (ミサイル)

DF-17 (東風-17)

DF-17（ドンフェン17、中: 東風-17）は、中華人民共和国が開発し、同国人民解放軍ロケット軍が運用するとされる中距離弾道ミサイル（MRBM）です。このミサイルの最大の特徴は、通常の弾道ミサイル弾頭に替えて極超音速滑空体（HGV）を搭載できる点にあります。

概要と開発経緯

DF-17のプロトタイプの存在がアメリカによって初めて確認されたのは2014年1月とされています。その後、2017年11月までに、山西省にある太原衛星発射センターから合計9回の発射テストが行われたことが、アメリカ国防総省によって確認されています。本ミサイルは、中国航天科工集団（CASIC）の第10研究所が開発に着手したとされており、2019年の軍事パレードで初めて公に姿を現しました。そして、2020年には部隊配備が開始されたと考えられています。

弾頭と特徴

DF-17が搭載するHGVは「DF-ZF」（あるいはWU-14としても知られる）と呼ばれ、通常弾頭と核弾頭のどちらにも対応可能とされています。ミサイルの初期段階では、固体燃料ロケットがHGVを加速させ、その後HGVは大気圏に再突入します。終末段階でのHGVの速度は、極超音速とされるマッハ5程度に達します。従来の弾道ミサイルが使用する再突入体と比較すると、終末速度自体はやや低いものの、この特性がHGVの高い機動性を可能にしています。HGVは「ブースト・グライド軌道」と呼ばれる独特な軌道を取ることで、アメリカのSM-3、THAAD、あるいはパトリオットといった現在の弾道弾迎撃ミサイルによる防空網を回避し、目標に到達する能力を持つと分析されています。

想定される運用

DF-17は、主に台湾の軍事関連施設を攻撃目標とすることが想定されています。さらに、有事の際にアメリカ軍が介入するのを阻止するための「接近阻止・領域拒否（A2/AD）」戦略の一翼を担う存在としても位置づけられています。現状では可能性に過ぎないものの、DF-17が対艦弾道ミサイルとして使用される可能性も指摘されています。HGVは高速かつ機動的であるため、従来の対艦ミサイルや既存の対艦弾道ミサイルよりも迎撃が困難であり、もしこの用途に用いられた場合、対象となる艦船にとって極めて深刻な脅威となると考えられています。

発射テストの記録

確認されている9回の発射テストは全て、太原衛星発射センターで実施されました。

初回 (2014年1月9日): 最初のテストが実施されました。
2回目 (2014年8月7日): このテストは失敗に終わり、ミサイルは発射後に崩壊したと報告されています。
3回目 (2014年12月2日): テストは成功しました。
4回目 (2015年6月7日): 成功しました。アメリカはこのテストで滑空体が「極度の機動」を行ったと指摘しています。
5回目 (2015年8月19日): 成功。アメリカはここで滑空体の「回避機動」を確認したと述べています。
6回目 (2015年11月23日): 成功し、このテストでマッハ5を超える速度が記録されました。
7回目 (2016年4月22日): テストは成功しました。
8回目 (2017年11月1日): 成功。約11分間で1,400キロメートルを飛行し、HGVは高度約60キロメートルの比較的低い高度を飛行しました。
9回目 (2017年11月15日): HGVの飛行高度を高める目的でDF-17が使用されました。

使用国

中華人民共和国（中国人民解放軍ロケット軍）

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