太原衛星発射センター

太原衛星発射センターは、中国山西省の北西部、忻州市岢嵐県に位置するロケット発射場です。省都太原市からは北西に284km離れた場所にあります。別名として中国人民解放軍第二十五試験訓練基地とも呼ばれています。

発射場の三方は山に囲まれており、西側は黄河に面しています。東経111度36分30.59、北緯38度50分56.71に位置し、標高1,500mの黄土高原の中という立地です。この地域は寒冷な大陸性気候であり、空気は乾燥していて雨も少ないため、ロケットの打ち上げに適した環境です。また、周囲の環境汚染も比較的少ない状態が保たれています。

中国の主要な宇宙基地である西昌衛星発射センターとは異なり、静止軌道への衛星打ち上げは行っていません。主に長征ロケットを使用し、試験衛星や気象衛星、地球資源衛星、科学衛星などの様々な人工衛星を打ち上げています。特に、中国初の回帰軌道気象衛星である「風雲」シリーズや、資源衛星（中国・ブラジル地球資源衛星）シリーズ、イリジウム衛星12基の商業打ち上げなどが代表的な実績です。さらに、大陸間弾道ミサイル（ICBM）や潜水艦発射弾道ミサイル（SLBM）の実験も行われています。

太原衛星発射センターは、ソビエト連邦の支援を受けて建設された酒泉衛星発射センターに次いで、中国で2番目に運用が開始されたロケット発射場です。中ソ対立が激化すると、重要な軍事施設はソ連の軍事的脅威を避けるため、各地の山奥へと分散されました。宇宙開発やミサイル開発においても、自主開発した新たな発射場を山中に建設する方針が決定されました。その結果、1966年3月に着工され、1968年に稼働を開始しました。アメリカ合衆国の情報機関は、かつてこの発射場を「五寨ミサイル・宇宙試験センター」と呼んでいましたが、実際には五寨県は発射場から少し離れた場所に位置しています。

センター内には、技術センター、飛行管制センター、観測所、鉄道引き込み線などの施設があります。また、太原衛星発射センターは中国人民解放軍の施設でもあるため、中国国務院と中央軍事委員会の国防科学技術工業委員会・衛星打ち上げ管制局の管轄下にあります。

関連情報として、アジアの宇宙競争、中国の宇宙開発、酒泉衛星発射センター、西昌衛星発射センター、文昌衛星発射センター、中国国家航天局、嫦娥計画などが挙げられます。

外部リンクとしては、GlobalSecurity.orgのChinese Space Facilities - Taiyuan（英語）が参考になります。

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