DFAレコーズ

DFAレコーズ（DFA Records）

DFAレコーズは、2001年にアメリカ・ニューヨークで設立されたレコードレーベルであり、プロデューサーチームでもあります。2000年代前半に、ダンス・パンクというジャンルを広めたレーベルとして知られており、インディーシーンにおいて重要な存在感を示しています。その音楽性は多岐にわたり、ポストパンク系のバンドから、エレクトロニックなダンスミュージック、実験的なエクスペリメンタル音楽まで、幅広いアーティストを擁しています。レーベル名のDFAは、Death From Aboveの頭文字から取られています。

来歴

DFAレコーズの設立は、1990年代後半に遡ります。プロデュース業や自身のパンクバンドで活動していたジェームス・マーフィーと、イギリスの音楽プロジェクト「アンクル」に参加していたティム・ゴールズワージーが、デヴィッド・ホルムスのアルバム制作中に運命的な出会いを果たします。音楽的な志向が合致した2人は、ロックとダンスミュージックのクロスオーバーという共通の目標を掲げ、マンハッタンのローワー・イースト・サイドのクラブでパーティーを始めるようになりました。

1999年、2人はプロデューサーチームThe DFAを結成し、プロデュース業を本格的にスタートさせます。2001年春、後にレーベルのマネージャーとなるジョナサン・ガルキンとバーで出会ったジェームスは、彼を自身のDJプレイに招待し、ザ・ラプチャーの「ハウス・オブ・ジェラス・ラヴァーズ」やザ・フアン・マクリーンの「By the Time I Get to Venus」を聴かせました。ジョナサンの心を奪ったこれらの楽曲は、彼をDFAのシーンに深く引き込み、彼は勤めていたイベントプロデュース会社を辞める決意をします。

そして2001年9月1日、ジェームス・マーフィー、ティム・ゴールズワージー、ジョナサン・ガルキンの3人は、ニューヨークでDFAレコーズを正式に立ち上げました。また、プロデューサーチームThe DFAとしては、2001年6月にレディオ4のシングル「ダンス・トゥ・ジ・アンダーグラウンド」と翌年のアルバム『ゴッサム!』をプロデュースし、大きな話題を呼んでいます。

2002年、DFAはザ・ラプチャーの「ハウス・オブ・ジェラス・ラヴァーズ」をリリースします。この楽曲は、NMEやSPIN誌といった音楽メディアから年間ベストソングの一つに選ばれるなど、大きなヒットを記録しました。その後も、音楽メディアが発表した2000年代の名曲リストでは、NMEで6位、ピッチフォークで16位、Resident Advisorで34位、ローリング・ストーン誌で53位に選出されています。同年7月には、ジェームス・マーフィー自身のプロジェクトであるLCDサウンドシステムの「ルージング・マイ・エッジ」をリリース。この楽曲もまた、NMEやSPIN誌から年間ベストソングの一つに選ばれるなど、高い評価を受けました。2000年代の名曲リストでは、Resident Advisorで7位、ピッチフォークで13位、NMEで29位、ローリング・ストーン誌で37位に選ばれています。

DFAが一連のリリースを通して提示したのは、パンクやポストパンクのサウンドとダンスミュージックを融合させた、ダンス・パンクと呼ばれる新しい音楽の潮流でした。このムーブメントは、当時話題となっていたエレクトロクラッシュや、ザ・ストロークスを発端とするポストパンク・リバイバルの流れと相まって、世界的な広がりを見せることとなります。

2003年9月、ザ・ラプチャーのデビューアルバム『エコーズ』をリリースし、全英アルバムチャートで32位を記録。アルバムの発売に合わせて再発売された「ハウス・オブ・ジェラス・ラヴァーズ」は、全英シングルチャートで27位を記録しました。アルバム『エコーズ』は、ピッチフォークがこの年のベストアルバム1位に選出した他、NME、SPIN、Q誌などのランキングにも名を連ねています。

2005年1月、LCDサウンドシステムのデビューアルバム『LCDサウンドシステム』をリリースし、全英20位を記録。収録曲「ダフト・パンク・イズ・プレイング・アット・マイ・ハウス」は全英29位を記録しました。アルバムは、Resident Advisorで5位、ピッチフォークで113位に選ばれています。また、「ダフト・パンク・イズ・プレイング・アット・マイ・ハウス」はローリング・ストーンが発表した2000年代のベストソングのリストで78位に選ばれました。アルバム『LCDサウンドシステム』と収録曲「ダフト・パンク・イズ・プレイング・アット・マイ・ハウス」は、第48回グラミー賞の最優秀エレクトリック/ダンス・アルバム賞と最優秀ダンス・レコーディング賞にノミネートされています。

2007年3月、LCDサウンドシステムの2ndアルバム『サウンド・オブ・シルバー』をリリース。全英アルバムチャートで28位を記録しました。音楽メディアが発表したこの年のベストアルバムのリストではUncut、Drowned In Sound、ガーディアンで1位を獲得するなど、軒並み上位にランクイン。またこの年のベストソングのリストでは収録曲「オール・マイ・フレンズ」がピッチフォーク、ガーディアンで1位を獲得しました。アルバム『サウンド・オブ・シルバー』は、第50回グラミー賞の最優秀エレクトリック/ダンス・アルバム賞にノミネートされています。同年、アメリカ以外の地域の作品をリリースする姉妹レーベルDeath From Abroadを創設しています。

2010年5月、LCDサウンドシステムの3rdアルバム『ディス・イズ・ハプニング』をリリース。アルバムは全米アルバムチャートで10位、全英アルバムチャートで7位を記録しました。この年のベストアルバムのリストでは多くの音楽メディアで上位に選ばれています。またベストソングのリストでは収録曲「アイ・キャン・チェンジ」がピッチフォークで3位に選ばれました。この年、創設者であるティム・ゴールズワージーがレーベルを離れています。

2011年4月、LCDサウンドシステムはラストライブを行い、活動を終了しました。9月、一時DFAレコーズを離れていたザ・ラプチャーが復帰し3rdアルバム『イン・ザ・グレース・オブ・ユア・ラブ』をリリースしました。

名称について

レーベルの名称は、元々は「Death From Above Records」でしたが、2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件を受けて、ニューヨークのレーベルとしては不適切な名称と判断し、頭文字を短縮して「DFA Records」と改名しました。

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