ダンス・パンク

ダンス・パンクの興隆と変遷

ダンス・パンクは、1970年代後半にパンク・ロックの勢いが落ち着き始めた頃、ロンドンやニューヨークを中心に登場した音楽ジャンルです。パンクの反抗精神と、当時のディスコやファンクといったダンスミュージック、デヴィッド・ボウイ、ブライアン・イーノ、イギー・ポップ、ドイツのクラウトロックなどからの影響が融合し、リズミカルで踊れる楽曲が特徴でした。

1970年代後半から1980年代：黎明期

ポストパンクやニュー・ウェイヴの潮流の中で、パブリック・イメージ・リミテッド、デファンクト、キャバレー・ヴォルテール、ピッグバッグ、マキシマム・ジョイ、ギャング・オブ・フォー、ニュー・オーダー、キリング・ジョーク、ザ・キュアー、スージー・アンド・ザ・バンシーズ、トム・トム・クラブ、トーキング・ヘッズ、ディーヴォといったバンドが登場しました。これらのバンドは、ダンス・パンクの原型となる音楽性を追求し、ジェームス・チャンス・アンド・ザ・コントーションズ、ESG、リキッド・リキッドなどのミュージシャンもこの流れを牽引しました。

2000年代：リバイバルと進化

2000年代に入ると、エレクトロやテクノがクラブシーンで人気を博し、ダンス・パンクに再び注目が集まりました。特にニューヨークのDFAレコーズ周辺のバンド、LCDサウンドシステムやレディオ4などが話題となり、ダンス・パンク・リバイバルの中心となりました。イギリスではフランツ・フェルディナンドがヒットを飛ばし、グラミー賞にノミネートされるなど、音楽賞も受賞しました。さらに、ヤー・ヤー・ヤーズやアークティック・モンキーズなどもデビューし、ダンス・パンクの勢いを加速させました。

2000年代以降のダンス・パンクバンドは、1980年代の音楽性に加え、1990年代以降のインディー・ロック、ポスト・ハードコア、ダンスミュージックなどからも影響を受けており、その音楽性はより多様化しました。

ダンス・パンクの音楽的特徴

ダンス・パンクの音楽的な特徴としては、4つ打ちのビートと切れの良いハイハットが特徴のドラム、ダンサブルなベースとパーカッション、ポストパンク期のギターサウンド、そしてシンセサイザーとボーカルが挙げられます。これらの要素が組み合わさり、独特のグルーヴを生み出しています。

ダンス・パンクの現在

ダンス・パンクの同義語として「ディスコ・パンク」が使われることもありますが、人によっては「ニューレイヴのバンド」や「シンセサイザーを用いたポップ・パンク」「打ち込みを用いたスクリーモ」など、より広い意味や異なる音楽性を指す場合もあります。

2010年代以降は、2000年代前半のような王道のダンス・パンクサウンドを鳴らすミュージシャンは少なくなっています。ニューレイヴの影響やインディーシーンの活況により、音楽ジャンルのクロスオーバーが複雑に進み、もはやダンス・パンクと明確に分類できるバンドはほとんど存在しません。

しかし、ダンス・パンクの影響は様々な形でインディーシーンに浸透しており、その欠片を様々な音楽で聴くことができます。ダンス・パンクは、その誕生から現在に至るまで、常に変化と進化を続け、音楽シーンに大きな影響を与え続けています。

ダンス・パンクに分類されるアーティスト

1970年代 - 1980年代
パブリック・イメージ・リミテッド
デファンクト
キャバレー・ヴォルテール
ピッグバッグ
マキシマム・ジョイ
ギャング・オブ・フォー
ニュー・オーダー
キリング・ジョーク
ザ・キュアー
スージー・アンド・ザ・バンシーズ
トム・トム・クラブ
トーキング・ヘッズ
ディーヴォ
ジェームス・チャンス・アンド・ザ・コントーションズ
ESG
リキッド・リキッド

2000年代 -
LCDサウンドシステム
レディオ4
フランツ・フェルディナンド
ヤー・ヤー・ヤーズ
アークティック・モンキーズ

ダンス・パンクの影響があるとされるアーティスト

（多様なアーティストがおり、ジャンルを横断して影響が見られる）

関連項目

ディスコ
* パンク・ロック

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