DJI (会社)

DJI（大疆創新科技有限公司）

DJI（Da-Jiang Innovations Science and Technology Co., Ltd.）は、中国広東省深セン市に本社を置く、民生用ドローンおよび関連機器の製造会社です。2006年の創業以来、革新的な技術と製品開発により、ドローン市場で世界的なリーダーとしての地位を確立しています。

歴史

2006年: 香港科技大学を卒業した汪滔（フランク・ワン・タオ）氏らによって創業されました。
2009年: 初の製品となるXP3.1フライトコントローラーシステムをリリースしました。
2010年: Ace oneなどの製品ラインナップを拡大しました。
2011年: ドローン関連商品のリリースを開始しました。
2012年: 初のコンシューマー向けドローン「Phantom」を発売し、大ヒットとなりました。
2013年: Zenmuse ブラシレスジンバルシリーズやPhantom 2 Visionをリリースし、ドローンの空撮性能を向上させました。
2014年: Phantom 2を発売し、さらにドローンの普及を加速させました。
2015年:
1月、アメリカのホワイトハウスにDJIのドローンが侵入した事件が発生し、ドローン規制の議論を呼び起こしました。
同年、廉価で高性能なドローンが人気を集め、世界の商用ドローン市場で7割以上のシェアを占める最大手となりました。
4月、日本の首相官邸で発生したドローン落下事件では、DJIのドローンが使用されたとされ、皇居周辺と総理大臣官邸がGPSで飛行禁止空域に設定されました。この事件を契機にドローン規制法が整備され、警視庁はドローンを網で捕獲する部隊を発足させました。
7月、日本のプロドローン社と初の業務提携を結びました。2014年から2015年にかけて、日本国内でのドローン関連技術の特許出願件数でトップとなり、技術力の高さを示しました。
12月、深セン市に初の旗艦店をオープンしました。
2016年:
深セン市南山区に新社屋の建設用地を取得しました。
10月、日本初の正式販売店を新宿に開設しました。
2017年:
1月、スウェーデンのカメラメーカーであるハッセルブラッドを買収し、カメラ技術を強化しました。
4月、DJIのドローンが中東のテロ組織ISILに利用されていることを受け、イラクとシリアの紛争地帯をGPSで飛行禁止空域に設定しました。安価で手軽に入手できるDJIのドローンは、中東地域で爆発物の投下や偵察目的で利用されることが多く、軍事利用への懸念が高まりました。一方で、軍事ドローン先進国であるイスラエルでも、正規軍がDJIのドローンを導入し、暴動鎮圧などに利用していることが報告されています。
8月、アメリカ陸軍がDJIのドローンの使用を一時的に中止しましたが、米軍全体での全面禁止には至っていません。また、アメリカのドローン大手である3Dロボティクスが、DJIのドローンにソフトウェアを提供するパートナーシップを発表し、業界の再編が進みました。
10月、DJIが主催するロボット競技「ロボマスター」を題材にしたテレビアニメ「ROBOMASTERS THE ANIMATED SERIES」が日本で放送されました。
2018年:
5月、マイクロソフトと人工知能や機械学習技術の活用で提携しました。
6月、アメリカのテーザー銃メーカー「アクソン」と法執行機関向けドローンの販売で提携しました。アメリカの警察では、自動識別や追跡機能、高倍率ズームを備えたDJIのドローンが広く採用されています。しかし、その一方で、プライバシーや人権侵害の懸念も指摘されています。
8月、「Mavic 2 Pro」と「Mavic 2 Zoom」を発表しました。
11月、カリフォルニア州で発生した大規模な山火事の際、DJIのドローンが災害対策に活用されました。
2019年:
1月、調達部門の社員が部品の価格を不正操作し、巨額の損失が発生しました。
5月、ハンドヘルドカメラ「OSMO Action」を発表しました。
アメリカ国土安全保障省が中国製ドローンの購入に安全保障上の懸念を表明したのに対し、DJIは第三者機関から安全性の保証を得ていると発表しました。その後、アメリカ内務省はDJIのドローンを採用しましたが、後に安全保障上の懸念から地上待機させるよう指示しました。
6月、初の地上走行ロボット「RoboMaster S1」を発売しました。
8月、初のレース用FPVシステムを発表しました。
12月、日本の海上保安庁が中国製ドローンの買い替え方針を決定しました。日本政府は2021年度から新規調達で中国製ドローンを事実上排除する方針です。
2020年:
11月、「DJI Mini 2」を発表しました。
12月、アメリカ商務省がDJIをエンティティ・リストに追加し、ハイテク監視による人権侵害に関与していると指摘しました。
2021年:
11月、Mavic 3シリーズを発売しました。
12月、アメリカ財務省がDJIへの証券投資を禁止し、商務省もエンティティ・リストに追記しました。新疆ウイグル自治区における人権侵害に関与しているとされました。
2022年:
ロシアのウクライナ侵攻では、DJIのドローンが両軍で使用されました。ウクライナ軍はドローン監視センターを設け、ロシア軍の動きを偵察。市民も偵察任務に参加し、ドローンに搭載された熱探知カメラが夜間のロシア兵や戦車を監視しました。ウクライナ政府は、市民が持つドローンの大半がDJI製であるとし、同社にロシアへの販売停止を要請しました。
4月、ロシアとウクライナでの事業活動を一時停止しました。
5月、「Mini 3 Pro」を発表しました。
8月、「DJI Avata」を発表しました。
9月、「OSMO Action 3」を発表しました。本社を新社屋「DJI Sky City」に移転しました。
10月、アメリカ国防総省がDJIをブラックリストに追加しました。

製品類

DJIは、幅広い用途に対応した多様なドローンや関連製品を開発・製造しています。

カメラドローン:
Mavicシリーズ (Mavic Air, Mavic Mini, Mavic Proなど)
Phantomシリーズ
Inspireシリーズ
Spark
Tello (インテル、Ryze社との共同開発)
Avanta
FPV
産業向けドローン:
Matriceシリーズ
Mavic Enterprise Advanced
Phantom RTK
Multispectral
ハンドヘルドジンバルシステム・アクションカメラ:
Osmo Pocket
Osmo Action
Osmo Mobile
Ronin
教育用ロボット:
RoboMaster

主な実績

DJIのドローンは、映画、テレビドラマ、インターネット配信など、さまざまな分野で活用されています。

映画:
約束のネバーランド
テレビドラマ:
魔進戦隊キラメイジャー
仮面ライダーゼロワン
女子高生の無駄づかい

脚注

外部リンク

* 公式ウェブサイト

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