DNSレコードタイプの一覧

DNSレコードタイプについて

DNS（Domain Name System）は、インターネットの根幹をなすシステムであり、ドメイン名とIPアドレスの対応付けを行うために不可欠です。この対応付けは、DNSゾーンファイル内のリソースレコード（RR）によって定義されます。

本稿では、DNSレコードタイプについて、現行で利用されているものだけでなく、過去に利用されていたもの、そして擬似的なレコードタイプについても詳しく解説します。

リソースレコード（RR）

DNSゾーンファイルの中核をなすのがリソースレコードです。これらは、ドメイン名に関連するさまざまな情報を格納します。以下に主なレコードタイプを説明します。

擬似リソースレコード（Pseudo-RRs）

擬似リソースレコードは、DNSの標準的なレコードタイプとは異なり、特定の目的のために利用されます。

廃止されたレコードタイプ

過去には利用されていたものの、現在は廃止されたレコードタイプも多数存在します。これらのレコードタイプは、技術の進化や標準化の過程で役割を終えたり、より適切な方法に置き換えられたりしました。

RFC 973によって廃止されたレコード

MD (3): メール転送エージェントに関する情報を提供していました。
MF (4): メール転送エージェントに関する別の情報を提供していました。
MAILA (254): メールボックスに関する情報を提供していました。

メーリングリスト関連のレコード

MB (7): メールボックスに関する情報を提供していました。SMTP VRFYコマンドの代替として提案されましたが、実際に使われることはありませんでした。
MG (8): メーリングリストのメンバーシップに関する情報を提供していました。SMTP EXPNコマンドの代替として提案されましたが、実際に使われることはありませんでした。
MR (9): リダイレクトされたメールボックスに関する情報を提供していました。SMTPの「551 User Not Local」エラーの代替として提案されました。
MINFO (14): メールボックスまたはメーリングリストに関する情報を指定していました。
MAILB (253): メールボックスに関する情報を提供していました。

RFC 1123で非推奨となったレコード

WKS (11): 特定のサービスを提供するホストに関する情報を提供していましたが、RFC 1123で「信頼すべきではない」とされました。

間違いによるレコード

NB (32): NetBIOSに関連する情報を提供していましたが、間違いとされました。
NBSTAT (33): NetBIOSのステータスに関する情報を提供していましたが、間違いとされました。

これらの番号は現在、NIMLOCやSRVレコードに割り当てられています。

RFC 1035によって廃止されたレコード

NULL (10): 初期のDNSで利用されていましたが、RFC 1035で廃止されました。

IPv6関連のレコード

A6 (38): 初期IPv6の一部として定義されましたが、後に実験的とされ、最終的に廃止されました。

DNSSEC関連のレコード

NXT (30): DNSSECの初期バージョンで使用されていましたが、RFC 3755で廃止されました。

その他、使用されなくなったレコード

HINFO (13): ホストのハードウェアとオペレーティングシステムに関する情報を提供していました。
RP (17): ホストの責任者に関する情報を提供していました。
X25 (19): X.25アドレスに関する情報を提供していました。
ISDN (20): ISDNアドレスに関する情報を提供していました。
RT (21): 経路指定に関する情報を提供していました。
NSAP (22): NSAPアドレスに関する情報を提供していました。
NSAP-PTR (23): NSAPアドレスの逆引きに関する情報を提供していました。
PX (26): X.400システムに関連する情報を提供していました。
EID (31): EIDに関する情報を提供していました。
NIMLOC (32): NIMロケータに関する情報を提供していました。
ATMA (34): ATMアドレスに関する情報を提供していました。
APL (42): アドレスリストに関する情報を提供していました。
SINK (40): Kitchen Sink internet draftで定義されましたが、RFCにはなりませんでした。
GPOS (27): LOCレコードの初期バージョンで、地理的な位置情報を提供していました。

IANA予約レコード

IANAによって予約されたものの、RFCドキュメントがなく、BINDからもサポートが削除されたレコードがあります。
UINFO(100)
UID(101)
GID(102)
UNSPEC(103)

SPFレコード

SPF (99): Sender Policy Frameworkプロトコルの一部として、SPFデータを格納するために使用されましたが、TXTレコードの使用が推奨されたため、RFC 7208でサポートが打ち切られました。

RPレコードについて

RP(17)レコードは、特定のホスト、サブネット、または他のドメインレベルのラベルに対する連絡先情報を提供するために使用できます。この情報はSOAレコードとは異なる連絡先を指定するのに役立ちます。

参考資料

IANA DNS Parameters registry
Google's Guide to DNS Records