DRAGON QUEST IV外伝 -地獄の迷宮-

DRAGON QUEST IV外伝 -地獄の迷宮-：レベルを超えた冒険

『DRAGON QUEST IV外伝 -地獄の迷宮-』は、三条陸による原作と稲田浩司による漫画で彩られた、人気RPG『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』の外伝作品です。2001年12月号と2002年1月号の『月刊少年ジャンプ』に掲載され、全2話で構成されています。監修はシリーズ生みの親である堀井雄二氏が務めています。

本作は、PS版『ドラゴンクエストIV』発売を記念して制作されました。『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』の作者である両名が手掛けたこの作品は、原作ゲームの世界観を踏襲しつつ、独自のストーリーと魅力的なキャラクターを展開しています。舞台は『ドラゴンクエストIV』第5章で主人公たちが訪れるアッテムトの町周辺。しかし、物語の中心となるのは、勇者の一行とは異なる、独自の冒険を繰り広げるキャラクターたちです。

主人公ギィンと、彼の相棒であるプラナは、後に両名によって創作された『冒険王ビィト』の主人公ビィトとポアラのプロトタイプと言える存在と言えるでしょう。彼らはモンスターバスターとして生計を立てています。モンスターバスターとは、モンスターを倒して得た賞金で生活する戦士のことで、誰でもこの職業に就くことができます。

モンスターバスターシステム

この作品における独特な要素として、モンスターバスターのレベルアップシステムが挙げられます。「魔石」と呼ばれるバスターの証を用いて倒したモンスターの情報を転送することで、経験値とゴールドを得ることができます。経験値が一定値に達するとレベルが上がり、戦士としての強さが増します。しかし、レベルが高いからといって必ずしも強いとは限らず、低レベルでも高い戦闘能力を持つ者も存在します。このシステムは、『ダイの大冒険』では省かれていた「経験値」「レベル」「ゴールド」といった要素を明確に導入した点で注目に値します。システムの管理者については作中で明かされていませんが、教会でギィンの戦闘記録を入手する謎の人物が存在感を示しています。

物語：迷宮と地獄の帝王

物語は、モンスターバスターの家系に生まれたギィンが、幻のモンスター・はぐれメタルを追い求めることから始まります。彼はレベルが上がらず、幼馴染で何でも屋のプラナを困らせています。そんな中、金策に困ったプラナは、バスター仲間のドッカルスの儲け話に乗せられ、アッテムト鉱山の迷宮に挑みます。

迷宮の地下宮殿では、ドッカルスたちの裏切りによりプラナが罠にかけられ、さらに宮殿の番人であるドラゴンライダーたちが襲いかかります。絶体絶命のピンチに、ひとりでモンスターを追っていたギィンが現れ、圧倒的な実力でドラゴンライダーたちを撃破します。プラナは、ギィンの戦闘経験が並外れて多いことに気づきますが、その直後、大地が揺れ、地獄の帝王エスタークが目覚め始めます。

崩壊する宮殿から脱出したギィンとプラナですが、ギィンはドッカルスたちが取り残された地下へと戻り、半覚醒状態のエスタークと対峙します。エスタークの驚異的な回復能力の前に苦戦しますが、プラナのサポートを受け、エスタークの弱点を見抜きます。はぐれメタル対策として常備していた毒針をエスタークに突き刺し、エスタークは完全に覚醒、反撃に出ます。その時、突如としてライデインの呪文が炸裂し、エスタークは倒れます。そして、謎の一味が、実は『ドラゴンクエストIV』の勇者一行であったことが明らかになります。

キャラクター

ギィン・ゴルド:主人公。ゴルド家という有名なモンスターバスター一家の息子。はぐれメタルに執着し、レベルは低いながらも並外れた戦闘能力を持つ。
プラナ:ギィンの幼馴染。ベギラマやメラゾーマといった呪文を使用できる。あらゆる武器を取り出せる不思議な武器入れを持っている。
ドッカルス:モンスターバスターの男。アッテムト出身で、プラナを騙して利用する。
エスターク:「地獄の帝王」と呼ばれる強大なモンスター。
* 謎の一味:正体は『ドラゴンクエストIV』の勇者一行。

この作品は、単行本として集英社から刊行され、『DQI秘伝 竜王バリバリ隊』とともに収録されました。その後、『ドラゴンクエスト』25周年を記念して、ジャンプリミックス版にも収録されています。レベルという概念にとらわれない、ギィンの圧倒的な戦闘センスと、彼を取り巻く個性豊かなキャラクターたちが織りなす、スリリングで痛快な冒険物語は、多くの読者を魅了するでしょう。

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