DevOps

DevOpsとは

DevOps（デブオプス）は、ソフトウェアの開発（Development）と運用（Operations）を組み合わせた造語で、両者が協力してソフトウェアを迅速かつ効率的に開発・提供する手法です。従来の組織では、開発部門と運用部門が独立していましたが、DevOpsではこれらの境界線を曖昧にし、協力体制を築くことで、より迅速なリリースと高い品質を実現します。単に技術的な側面だけでなく、組織文化やプロセスの変革も含む総合的なアプローチです。

DevOpsの概要

従来の開発組織では、開発部門と運用部門が独立しており、連携が不足していました。DevOpsは、開発、運用、品質保証（QA）といった各部門が協力することで、ソフトウェア開発ライフサイクル全体を効率化します。CI/CD（継続的インテグレーション/継続的デリバリー）は、ソフトウェア開発における自動化に焦点を当てていますが、DevOpsはそれだけでなく、組織文化やプロセスの変革も重視します。さらに、ビジネス部門を組み込んだBizDevOpsや、セキュリティを重視したDevSecOpsといった概念も登場しています。

DevOpsの定義

学術的には、「高品質を維持しつつ、システムへの変更をコミットしてから通常の運用に移行するまでの時間を短縮するプラクティス」と定義されます。しかし、DevOpsは多様な文脈で使用されており、その解釈は一つではありません。

DevOpsの語源

2008年のアジャイルカンファレンスで「アジャイルインフラストラクチャ」について議論されたことが、DevOpsのルーツです。2009年にベルギーで開催された「DevOpsDays」をきっかけにDevOpsという用語が普及しました。

DevOpsとアーキテクチャ

DevOpsは、文化的な変革と部門間の協力を重視するため、単一のツールではなく、複数のツールで構成される「DevOpsツールチェーン」を利用します。これらのツールは、コード管理、ビルド、テスト、パッケージング、リリース、構成管理、監視など、ソフトウェア開発とデリバリーの様々な側面をサポートします。Docker、Jenkins、Puppetといったツールがよく利用されます。

DevOpsのツールチェーン

• - コード: 開発とレビュー、バージョン管理
• - ビルド: 継続的インテグレーション、ビルドステータス
• - テスト: パフォーマンス測定と結果
• - パッケージ: リポジトリ、ステージング
• - リリース: 変更管理、リリース承認、自動化
• - コンフィギュレーション: インフラ設定、コードとしてのインフラ
• - モニター: アプリケーション監視、ユーザーエクスペリエンス

アジャイル[[ソフトウェア開発]]・継続的デリバリーとの関係

アジャイル[[ソフトウェア開発]]

アジャイル[[ソフトウェア開発]]は、組織が変化に対応するための考え方であり、DevOpsは組織改革を強化する手法です。アジャイル開発では頻繁なリリースが求められるため、開発と運用の連携が不可欠となり、DevOpsの考え方が広まりました。

継続的デリバリー

DevOpsと継続的デリバリーは、ともにアジャイルとリーン生産方式を背景にしていますが、異なる概念です。DevOpsは、組織全体の変革と自動化を重視し、継続的デリバリーは、デリバリープロセスを自動化することに焦点を当てます。両者は組み合わせて使用されることで、市場投入までの時間を短縮し、顧客価値の向上に貢献します。

DevOpsの目標

DevOpsの目標は、デリバリーパイプライン全体に及びます。主な目標は以下の通りです。

• - 市場投入までの時間短縮
• - 新しいリリース時の失敗率低減
• - 修正リードタイムの短縮
• - 回復時間の短縮

これらの目標達成のため、自動化が重要になります。また、信頼性とセキュリティを向上させつつ、開発と展開のサイクルを迅速にすることもDevOpsの目的です。開発環境の標準化により、リリース管理が容易になります。

DevOpsの利点

DevOpsを導入することで、多くの企業が以下のようなメリットを享受しています。

• - 市場投入までの時間短縮
• - 高い顧客満足度
• - 製品品質の向上
• - 信頼性の高いリリース
• - 生産性と効率の向上
• - 迅速な実験による適切な製品の構築

文化の変化

DevOpsの実現には、組織文化の変革が不可欠です。開発者は変化を求め、運用担当者は安定性を求めるため、両者の協力関係を構築することが重要になります。チームビルディングや従業員参加活動を通じて、部門間のコミュニケーションを促進し、文化の変化を促すことができます。

DevOpsの展開

多くのリリースサイクルを持つ企業では、DevOpsの啓蒙活動が必要になる場合があります。例えば、2009年のイベントで、Flickrのエンジニアが「開発と運用が協力することで、1日に10回以上のリリースが可能になる」と発表したことが、DevOps普及のきっかけとなりました。

DevOpsとアーキテクチャ

DevOpsを効果的に実践するためには、ソフトウェアアーキテクチャも重要です。展開性、修正可能性、テスト容易性、監視性といった要素が優先されます。マイクロサービスアーキテクチャは、小さく扱いやすいサービス単位で構成されるため、DevOpsとの相性が良いとされています。

導入の範囲

DevOpsは、IT部門だけでなく、組織全体での取り組みが推奨されます。「DevOpsは、企業全体にもたらされたアジャイルの原則である」という考え方もあります。また、資金調達プロセスも継続的に行う必要性が示唆されています。

DevOpsの導入を推進する要素

• - アジャイル開発の利用
• - 生産リリースへの要求増加
• - 仮想・クラウドインフラの利用
• - データセンター自動化
• - テスト自動化

制約理論と増分導入

制約理論をDevOps導入に適用することで、組織内の変化に対する抵抗を克服できます。増分導入は、リスクとコストを最小限に抑えながら、社内スキルを構築する方法です。ジーン・キムの「3つの基本原則」は、DevOps導入の指針となります。

1. システムの考え方: 全体のパフォーマンスに焦点を当てる。
2. フィードバックループの増幅: 関係者間のコミュニケーションを向上させる。
3. 継続的な実験と学習: リスクを恐れずに実験し、改善を続ける。

まとめ

DevOpsは、ソフトウェア開発と運用を連携させ、組織全体の効率化と迅速なリリースを目指す手法です。組織文化の変革、自動化、継続的デリバリーといった要素を組み合わせることで、ビジネス価値の向上と顧客満足度の最大化に貢献します。導入には組織全体の協力と継続的な学習が不可欠です。

脚注

関連項目

• - ソフトウェア開発方法論
• - アジャイル[[ソフトウェア開発]]
• - 継続的インテグレーション
• - BizDevOps

外部リンク

• - ITpro - キーワード「DevOps」

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