Digital Novel Markup Language

Digital Novel Markup Language (DNML) について

Digital Novel Markup Language（DNML）は、花梨によって開発されたビジュアルノベル形式のゲームを作成するための自由ソフトウェア、およびその記述方式です。HTMLに似た構文を持ち、直感的なプログラミング体系を採用しているため、初心者でも比較的容易にゲームを作成できます。

DNMLの概要

DNMLは、以下のような特徴を持っています。

直感的な構文: HTMLに似た構文を採用しており、表現の流れをそのまま記述できるため、初心者でも理解しやすいです。
柔軟な表示領域: 文章の表示領域を自由に定義できるため、ビジュアルノベルだけでなく、メッセージウィンドウを用いたアドベンチャーゲームも作成可能です。
多様な画像形式に対応: Susieプラグインを使用することで、あらゆる画像形式に対応できます。
二次創作に特化: ユーザがインストールしている原作ゲーム素材にアクセスする独自の仕組みがあり、美少女ゲームの二次創作ツールとして広く利用されました。

DNMLで記述されたファイルは「DNMLブック」と呼ばれ、最盛期には多くの作品が制作され、同人誌即売会などで頒布・配布されました。中には累計6000枚に及ぶアンソロジーも存在します。

公式の関連書籍は存在しませんが、雑誌でノベルゲーム作成ツールとして紹介され、同梱CD-ROMに収録されるなど、オリジナル作品の制作にも利用されました。

2000年に発表されたVer2.24以降、開発者の時間が不足したため開発は終了し、バージョンアップは行われていません。

二次創作での利用

DNMLは、1998年の公開当初から二次創作での利用に特化していました。特に、LeafやKeyのゲームの二次創作が多く制作されています。これらのメーカーはコミックマーケットでも専用のジャンルコードが与えられるほどの人気ジャンルであり、その流行に合わせて多数のDNMLブックが作られました。

二次創作DNMLブックを公開・配布する際は、当然ながら一般的な二次創作物と同様にメーカーのガイドラインに従う必要があります。原作素材を複製して配布するわけではないため、ガイドラインに抵触することは少ないですが、過去にはメーカーのスタンスが不透明なために配布が見送られたこともあります。しかし、その後、メーカーとの調整により配布が再開されています。

オリジナル作品での利用

DNMLは二次創作での利用が主ですが、オリジナル作品の作成にも用いられました。NScripterにおける『月姫』や、吉里吉里における『Fate/stay night|Fate_stay_night』ほどのビッグタイトルは知られていませんが、『ひとかた』のようにDNMLで作られて人気を博し、後に別のプラットフォームで商品化された作品もあります。

互換エンジン

花梨が開発したDNML（本家DNML）の他にも、DNMLブックを閲覧できるソフトウェア（DNMLブラウザ）がいくつか存在します。

DNML (緑): 本家DNMLとの互換性が高く、バックログや文章自動送りなどの機能も備えています。

その他にも、Java仮想マシン上で動作する『DNML4J』、Macintosh上で動作する『DNML for Macintosh』、Linux上で動作する『KDVXA』など、プラットフォームを問わず多数の互換エンジンが存在しました。

また、DNMLの後継エンジンとして開発が進められていたものもあります。例として、XMLベースの構文を持つ『XNML/VNML』、DNMLの構文を見直して多機能化した『XDNML』、プラットフォームを吉里吉里に移した『DVML』などがあります。これらのプロジェクトの一部は試作品も公開されましたが、現在ではほとんどが開発凍結しています（2019年6月現在）。

DNMLは、その直感的な操作性と二次創作への適合性から、多くのユーザーに愛されたツールでした。開発は終了しましたが、その遺産は今もなお、多くの人々に影響を与え続けています。

脚注

外部リンク

Project Angel Wing - 花梨の公式サイト
* たびするだんご - 互換エンジン開発サイト

もう一度検索