Dovecot

Dovecotについて

Dovecotは、Unix系のオペレーティングシステム上で動作するIMAPおよびPOP3サーバです。開発者ティモ・シライネンをはじめとするチームによって設計され、セキュリティを重視したシステム構築が特徴です。Dovecotは、Open Email Surveyによると、従来のCourier-MTAやUW IMAPの代替として、IMAPサーバとしてのスタンダードな地位を獲得しています。2020年時点で、Dovecotは290万台以上のサーバにインストールされており、全IMAPサーバの76.9％のシェアを持っています。これは、2019年の76.2％からわずかに増加した結果です。現在、Mac OS X Server v10.6以降では、標準のPOP3/IMAPサーバとしてCyrus IMAPに代わって採用されています。

特徴

Dovecotの主な特徴としては、以下の点が挙げられます。

1. プロトコル対応: POP3およびIMAP4rev1に完全に対応しており、通信にはIPv6とSTARTTLSを含むSSL暗号化が可能です。
2. フォーマットの互換性: UNIX標準のmbox形式や、IMAPで一般的に使用されるMaildir形式の両方に対応し、さらにインデックス化を行うことで動作を高速化しています。
3. SMTP認証バックエンド: PostfixやEximといったMTAに対して、SMTP認証のバックエンドとして機能することができます。
4. NFSサポート: ネットワークファイルシステム（NFS）上でも正常に動作します。
5. 拡張機能: プラグインを通じて多様に機能を追加することが可能です。
6. 互換性: Dovecotはmbox、Maildir、独自形式のdboxで動作し、UW IMAPやCourier MTAサーバとの互換性も保有しています。
7. メール配送エージェント: Dovecotにはメール配送エージェントが含まれており、オプションでSieveフィルタリング機能を利用できます。
8. 認証スキーム: CRAM-MD5やDIGEST-MD5など、さまざまな認証方式に対応しています。
9. 新機能の追加: バージョン2.2では追加のIMAPコマンドやdsyncの改良が行われ、バージョン2.3ではメッセージ送信エージェント用のLuaスクリプトが導入されるなどの改善が加えられています。

Appleは、Mac OS X Server 10.6 Snow Leopard以降の電子メール関連サービスにDovecotを利用しています。2017年には、MozillaがDovecotソフトウェアの初めての公開監査を行い、セキュリティ面の確認を実施しました。

Dovecotは、そのセキュリティ、拡張性、高速な処理能力などの点から、多くのユーザーに支持されており、現在も活発に利用されている重要なメールサーバソフトウェアの一つです。

もう一度検索