Dpi

dpi（ディーピーアイ）とは

dpi（dots per inch）は、ドット密度を表す単位です。1インチの幅にどれだけのドットを表現できるかを示し、プリンターやスキャナーの性能、画像データの解像度を測るために使用されます。ppi（pixels per inch）とは異なり、dpiはドットの密度を表します。

概要

コンピュータのディスプレイでは、一般的に72dpiから96dpi程度が良好な視認性を得られるとされています。これは、初期のコンピュータが採用していた標準的な設定に由来します。特に、グラフィック業界では、Macintosh由来のソフトウェアの影響で72dpiが標準とされることが多いです。一方、印刷物では、最低でも300dpiが必要です。漢字のような複雑な字形を視認するためには、高い解像度が求められます。モノクロ印刷では、アンチエイリアス効果が期待できないため、通常600dpi以上が推奨されています。

dpiが低いデータで印刷すると、ジャギーやボケが発生し、「画面では綺麗に見えたのに、印刷するとギザギザしたりぼやけたりする」という現象が起こります。プリンターの性能表示におけるdpi値は、ドットの中心をずらすことが可能な最小単位を示しており、人間の目では300dpi以上の違いはほとんど認識できません。そのため、スキャナーやディスプレイのdpiと単純に比較することはできません。

高DPI環境

従来のディスプレイでは、画素数の増加に伴い、画面サイズが大型化されることが一般的でした。しかし、スマートフォンなどのモバイル機器では、画面の物理サイズが小さく、視点距離が近いため、高精細な高DPIディスプレイが導入されています。ノートPCやデスクトップPCでも、高解像度ディスプレイが普及し、画面サイズを大きくせずに高DPI化が進んでいます。

ソフトウェアのGUIは、OSやGUIツールキット、アプリケーションによって、高DPIへの対応状況が異なります。低DPI設定のまま高精細ディスプレイを使用すると、GUI要素の物理サイズが小さくなり、視認性や操作性が低下します。例えば、100dpiのディスプレイで1インチだったGUI要素は、200dpiのディスプレイでは0.5インチになります。最新のGUIツールキットでは、ディスプレイのDPIに依存しない論理ピクセルを導入し、OSのDPI設定と連動することで、高精細ディスプレイに対応しています。

Windowsでは、OSのDPI設定に応じてウィンドウ描画内容を拡大表示するDPIスケーリング機能があります。しかし、96dpiを前提とした古いアプリケーションでは、オフスクリーン描画結果を強制的に拡大するため、描画がボケて表示される問題があります。アプリケーション側でシステムDPIやディスプレイDPIを認識し、適切なサイズで描画するように修正する必要があります。Windows 10では、GDIを利用する古いアプリケーションのスケーリング機能が改善されています。

まとめ

dpiは、ドット密度を示す重要な単位であり、ディスプレイ、プリンター、スキャナーなど、様々なデバイスや媒体で用いられます。用途に応じた適切なdpiを設定することで、視認性の高い表示や印刷結果を得ることができます。高DPI環境への対応は、ソフトウェアやOSの進化とともに改善されています。

用語の使い分け

• - dpi (dots per inch): プリンターやスキャナーなど、ドットの物理的な密度を表す。
• - ppi (pixels per inch): ディスプレイなどの画素密度を表す。
• - 解像度: 画像やディスプレイの精細さを表す一般的な用語。
• - 分解能: 光学機器やセンサーの性能を表す。
• - スクリーン線数: 印刷における網点の密度を表す。

関連項目

lpi (lines per inch)
ppi (pixels per inch)
解像度
分解能
* スクリーン線数

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